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東都幻想工房

同人サークル・東都幻想工房の近況等を報告するブログです。 また、二次創作小説等も掲載しています。

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東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode 5 ~【小説版】第6章・その2

第6章・魔界のエージェント

 翌日、大治郎が目を覚ました所、屋敷の廊下から何やら言い争う声が響いてきた。声の主は晴海であり、物凄い形相でセラッグに喰ってかかっていた。晴海は水をかけられたかのように濡れている。何かの拍子で被ってしまったのだろうか。
 大「おはよう。あさから元気だな」
 晴「聞いてよ!コイツ、酷いのよ。味見とか何とか理由をつけて私を呑み込もうとしたのよ!」
 セ「だから、すまなかったと謝っているじゃないか」
 晴「それはいいわ。私が納得いかないのは、ヒトの肉は私くらいの年齢がちょうどいいから我慢できなかったという理由よ!?一族の取り纏めの立場のヒトがそれで言いわけ!?全く、信じられないわ」
 会話の内容から晴海はセラッグに突然襲われ、呑み込まれかけたようだ。
 セ「それにしてもあの状態から電撃を放って私から逃れるなんて、私はお前さんが気に入ったよ。話は急に変わるがこの件が終わったら、私達が作っている物をそちらで扱ってみないかい?」
 晴「何よ急に」
 セ「お前さんの家は商人の家だろう?ここで魔界の物を取り扱ってみないか?そちらの世界に無い物がこちらにはたくさんあるぞ。それと交換で、こっちの世界に無い物を私達に卸して欲しい」
 晴「意外とがめついわね」
 セ「がめついとは心外だな。今のご時世、お金は力の一つだ。それにあればあるほどいいじゃないか。基本、何もしてくれない神様よりはよほど役に立つだろう?」
 晴「まあ、私の一存だけじゃ無理ね。ま、お婆様に一応、話をしてみるわ」
 セ「おお、そうか!ぜひとも頼むぞ。最近の魔界は刺激を求めている。そちらの世界の物なら様々なジャンルの物が受けるはずだぞ」
 セラッグが嬉々とした表情で、晴海の両手を捕って上下に激しく揺さぶる。余程、こちらの世界の物が欲しいのだろう。
 ソ「頭いた~い。昨日は呑みすぎたわ~。うう・・・」
 そんな時、二日酔いでソフィアが現れ、いい雰囲気をぶち壊すにえげいていた。その様子をみたセラッグは“ここで吐くなよ!”と慌て始めた。
 ソ「ちょ、ちょっと車を止めて頂戴・・・・・・」
 不「なんですかソフィアさん、またですか?」
 路肩に車を止めた瞬間、ソフィアが車から音速の如く飛び出し、茂みに隠れたと思ったら耳障りな声が聞こえてきたのだった。
 ソ「あのもらった薬、本当に二日酔いに効いているのかしら?さっきからいっこうに治まる気配がしないわ」
 チ「私のスキャンによる結果では、体調はあまり変わっていない模様です。おそらく、峠道を右に左に揺られた影響が間接的に出ていると思われます」
 不「私の予想だと、おそらく、あの薬は何の効果がないエセ薬だと思いますよ」
 ソ「エセ薬!一体、何のために!」
 不「多分、その方がおもしろいと思うからですよ」
 それを聞いたソフィアは顔を真っ赤にして悪態をついた後、月島から渡された水を口に含んだ後、あてつけるかのように勢いよく吐き出した。マンドラ族の集落を離れる際に、セラッグが“ここから先は妨害になるような障害はない”と言っていたため、京の都にはすんなりと入る事ができた。
パリン!
 不「おっと!」
 突然、車の窓ガラスから音をたてた。よく見ると9mm程度の穴が開いている。
 ?「止まれ!」
 大きな声がした方向をみると、大きなフロッピーハットを被った女性がおり、構えた銃から煙が立ち上がっていた。
 大「彼女がコードレスか?」
 不「そうです。間違いありません」
 コ「外の世界から来た四人組みはお前達だな!?」
 大「いいえ。違います」
 コードレスの問いに大治郎は何の悪びれもなく嘘をついた。
 コ「・・・・・・。嘘をつくな!五尾の火狐が連れているという情報が入っているのだ」
 大「お前さん、そんな二つ名があったのか?」
 不「・・・一応」
 どうやらすんなりと通してはくれなさそうだ。
 ソ「・・・・・・行って」
 ソフィアが何気なく言った一言に全員が視線を向ける。
 ソ「アクセルを踏んでさっさと行って頂戴」
 チェ「そうしたら、あのヒトを轢いてしまう可能性があるわよ」
 ソ「そんな事関係ないわよ!名無しだか無線だが知らないけど、ここは車道よ!ボーッと突っ立っているほうが悪いのよ!さあ、行きなさい!さっさと車を出さないと、あなたの頭をサッカーボールのように蹴っ飛ばすわよ!」
 一国の女王を務める人物とは思えない発言である。しかし、ソフィアの威圧に負けたのか、不知火はアクセルを踏み切った。
 コ「何を考えて――」
 その先の言葉は聞こえなかった。アクセルを踏み切り、急加速した車に撥ねられたのだ。しかし―

ボスッ!
 突然、鈍い音と共に車体が右側に傾く。不知火が減速させて車を停める。原因ははっきりしていた。
 大「車に撥ねられて空を舞っているというのに、その最中、正確に車のタイヤを狙ってきたな」
 撥ねられたコードレスは地面に叩きつけられず、しっかりと片手をついて着地していた。ダメージも無さそうで、まるで映画のアクションシーンのようであった。
 晴「ファーストアタックはうまく行かなかったみたいね」
 コ「車を使った先制攻撃とはなかなか考えたわね。しかし、そんな程度じゃ私からは逃げられないわよ」
 大「やれやれ、やっぱりダメか。少し楽はできると思ったんだけどな」

続く
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