忍者ブログ

東都幻想工房

同人サークル・東都幻想工房の近況等を報告するブログです。 また、二次創作小説等も掲載しています。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】第6章・その7

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第6章・招雷童子:その7

 イースト・ペイシングの中心部で行われた東雲グループ主催の馬鹿騒ぎが終わり、日本は夏真っ盛りとなっていた。今回の馬鹿騒ぎで破壊された施設は東雲グループが用意した業者によって連日、修復が行われていた。そんな夏の日、自総研に晴海が何やら大荷物を背負ってやってきたのだ。
 「・・・・・・・。夏の真っ盛りに何をしに来たんだ?そんな大荷物を持って。しかも、一人でか」
 「アンタに剣術を教えてもらいによ」
 「そんな約束はした覚えがない。それに一人でここに来たら、会長さんが心配しているだろう?」
 「おばあ様に行き先はいってないわ。月島には伝えたけど、自分も行くとうるさいから痺れさせてきたわ。これもあるから日本のどこへでもいけるわ」
 「日鉄(日本鉄道株式会社の事)のレッドパスじゃないか。どうやって手に入れた?」
 「知らないわ。私が物心つく時にはすでにあったわ。」
 レッドパスは日本鉄道株式会社が発行しているスペシャルフリーパスの最上位の物である。パスに記名されている人物は、使用を止められない限り、路線乗り放題はもちろん、特別急行列車の座席の優先指定等のサービスが全部タダになるうえに、期限は無期限という誰しもが欲しがる夢のパスである。東雲グループは日鉄の株を所持している会社では1番であると同時に、車内販売サービスに使われる商品等も提供しているがそういった事でも貰う事はできない。クラル姫のような国家元首の立場であるヒトでも貰う事はできない。日鉄の設立にあたって強力した大治郎や紗江、自総研の局長等そういった多大な貢献をしたり、お悔やみとか特別な感謝を示す時に送られたりする事があるという。ちなみにレッドパスのレッドは希少鉱石であるレッド・ダイヤモンドからとられている。
 「で、これを使って折角の夏休みにあちこちをフラフラしているのか。夏休みの宿題や友達と遊ばなくいいのか?」
 「心配いらないわ。夏休みの宿題は、五月蝿い家庭教師のおかげで真っ先に終わったわ。自慢じゃないけど、家庭教師とか習い事とかのおかげで中の良い友達なんかいないわよ。夏休みの自由研究としてこの間、サウザント・リーフ王国にいってきたわ。“王家の仕事”という題名で提出してやるのよ」
 「それで一週間程、ソフィアの所にいたのね。随分、うれしそうな声で話してきたけど」
 ソフィアはあの一件で賞金をきっちりもらっていたという。その事もあって王様の仕事の密着取材を独断でOKしたそうだ。一方でその割を喰らったカズサは四六時中ストーカーのように付きまとわれ、時折ソフィアが嘘を教えたりしたため、その弁明に追われたそうだ。
 「それで、ここに来た目的は?」
 「私に剣を教えて欲しいの」
 直球な答えが返ってきた。晴海の目は真剣なまなざしである。おそらくブルドーザーを持ち出して追い返そうとしても無理だろう。
 「念のために聞いておくが、あの荷物の中身はなんだ?」
 「キャンプ道具よ。教えてくれないのなら、ここでテントを張るわよ。もちろん、教えてくれたらちゃんとお礼はするわ」
 室内でテントを張るという行動に何の意味があるかはわからないが、相当なわがままな部分があるのはこの間の戦闘で察する事ができる。
 「局長、どうします?」
 その後、“仕事は今は無いんだから”という安易な理由で晴海に剣の稽古をつける事に大治郎はなった。しかも、キャンプ道具を持ってきたという事で、森に入って1週間稽古する形でだ。結果的に晴海の剣術はパワーアップしたが相当酷い目にあったらしく、戻って来た時は憔悴し、
 「キャンプはしばらくしたくない」
 と、ボヤいていた。
【登場人物紹介・その7】
・氏名:東雲 晴海(シノノメ ハルミ)
・性別:女性
・誕生日:3月30日
・武器:家宝の宝刀・ミチザネ(長刀)
・職業:初等教育学校6年生
東雲グループの先代会長が遺した忘れ形見。東雲グループの次期会長と、もっぱらの噂がある。家宝である“ミチザネ”という名前の長刀を振り回す。この長刀の刃渡りは彼女の身長よりも長いが、それを両手で扱えるほど腕力があるのは家系との事。(地球本来の人間系統とは違う筋力と考えられるため、超高度文明時代に地球にやってきた異星人が家系にいると考えるのが妥当)
“ミチザネ”は雷属性の長刀である。さらに、彼女自身も電気を操る能力を持っているため、うまく組み合わせればかなりの威力となる。
初等教育学校に通っているが、放課後は各種習い事、家庭教師等の英才教育を施されている上に、身分の関係で学校にいるクラスメートからは、どことなくたどたどしい関係になってしまっているため、友達はいないようだ。
今回の騒動を企画した張本人だが、彼女自身の力だけではなく青海達のバックアップがあったから成せたものであった。特に青海は、初等教育における最後の夏休みという事でそのワガママを組んでいた。なお、本人は自分の地位を理解しているがワガママの部分がよく見受けられる年相応の子供である。自総研にやってきた時もこの傾向が見られる。(キャンプのお願いに来た時は、いえの習い事等を全部、すっぽかしている)

EPⅤへと続く
PR

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】第6章・その6

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第6章・招雷童子:その6

 「そうか。その電気シールドは精霊弾の軌道を変える効果も備わっているのか」
 だとすれば、精霊銃ではダメージは与えにくい。銃に実弾を装填して乱射すれば、無理やりダメージを与える事はできるがそれはそれで失礼だ。ここは刀でしっかりと勝負するのが礼儀だ。幸い、この電気シールドは晴海の身体に接触するくらい接近しないと反応しないタイプのようで、刀でも素手でも素早く叩けば感電する事はない。晴海が左手を地面について電撃を飛ばしてくる。どうやら刀でも素手でも地面に触れていれば電撃を飛ばすことができるようだ。大治郎は横に再び避けたが、後ろの方でなにやら悲鳴が聞こえてきた。
 「雷が昇ってくるとは考えていなかったわね」
 雷が昇る。これは自然現象で、普通に発生するものである。一般的には“雷樹”と呼ばれ、冬に雪が降る地方で見かける事が可能である。また、クラル国に建てられたとても高い電波塔の頂上からも目撃例がある。自然現象の“雷樹”は雲と地面との距離が近い状況で発生するため、一般的な落雷(特に夏)よりも強力である。それを受けたソフィアは髪に一部ダメージが出ているようだ。先程、晴海が飛ばした電撃は、さながら対空の技であると考えられる。
 「だけど、電気を操る事が出来ても力量が伴っていなければ、意味はないぞ」
 そう言うと、大治郎は晴海に斬りかかった。防御しようとすれば弾かれ上に刀で叩かれ、雷撃を飛ばそうものなら素手で弾かれる。精霊術を唱えようとすれば、口を塞がれて詠唱ができない。電気シールドを張っているのにも関わらず、晴海の口を塞いでいることから電気シールドが全く役に立っていない事がわかる。晴海の頭の中では、何が大治郎に勝っているかを考え始めた。
 (私が勝っている物はないの?学校の成績では算数を除いて、他はトップクラス。毎月のお小遣いは百万単位!税金だって私の家は一般市民のうん千倍の額を納めている!時期に会社の会長にさせられるようだから、社会的地位も確率されている!・・・だめよ、どれもすでに負けている気がする!!)
 晴海は深く考える事をやめた。地位も名誉も所持金も頭の良さも大治郎に上回っている要素はないと察したからだ。やる事は1つ。後先考えずに攻撃を叩き込むしかない。
 「はあああああああ!!!」
 晴海が力任せに刀を振り回し、床に振り下ろす。刀は電気を纏い刃渡りがさらに延びている。振り下ろされた刀は激しくスパークし、周囲に電撃を撒き散らす。そして、大治郎の方に向かって落雷が連続して落ちていく。
 「あーあ。キレちゃったみたいね」
 晴海は一連の動作を大治郎目掛けて連発している。当てることよりも、とにかく繰り出す事を主体にしているようだ。それを受けている大治郎の方は何故か回避に徹している。怪訝な顔して紗江が見ていると、
 「これの電撃は晴海だけの力じゃないぞ」
 「つまりは力を増幅している触媒か何かあるということよね」
 攻撃を繰り出している晴海が放っている電撃の威力や範囲は先程とはうって変わって増大している。
 「刀だ。あの刀は雷の属性を持っている!それの効果が入っている!だが、それが分かれば問題はない」
 何がどう問題ないのかはわからないが、晴海が刀を振り上げる時に合わせて飛び越え、後ろに回った。一回転するように遠心力をつけて振り下ろすのだが、始めに背中を向ける動きがあるのと、雷の刃が出るのが、刀が晴海の頭の上に来た時である。その間の武器の軌道は単純であった。大治郎が放った遠心力をかけた薙ぎ払いを受けて、晴海は吹っ飛ばされていった。
 「あっ!」
 ソフィアの驚く声が聞こえた瞬間、ガラスが割れる音が聞こえ、下のプールに落ちる音が聞こえた。

続く

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】第6章・その5

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第6章・招雷童子:その5

 何らかの方法で心得したのか、晴海の剣術は思っていたよりひどくはなかった。身長より長い刃渡りを持つ刀を扱うためか、脇に刀を構えている。不思議な事に細い腕や小さい手であるのに関わらず、刀自身の重さに負けておらず、両手でしっかりと振ってきている。だが、斬り上げ、突きといった攻撃は悉く大治郎に防がれてしまっていた。
 「基本は出来ているようだけどそれだけではダメだな」
 「くっ・・・」
 鍔迫り合いを行っている刀がカチャカチャと音を立てる。余裕の大治郎と厳しい表情の晴海でどちらに分があるのかがわかる。
 「君の目の前にいるヒトは、君が何をどうやっても勝てない相手だ。全力を出さないと後悔するぞ」
 その言葉を聞いて、ムッとしたような表情が晴海の厳しい表情に混ざる。刀を弾いて、薙ぎ払う様に振り回し、大治郎と距離を取る。そして、刀で地面を刺すと雷撃が地面を這うようにかなりの速さで雷撃が飛んでくる。大治郎はそれを簡単に横に避けてしまう。
 「ジャンプで避けてもよさそうね」
 後ろで観戦している紗江が呟く。避け方としては剣で衝撃波を飛ばす物となんら変わりがないためである。振り下ろされた刀を大治郎が受けると共に身体を引き、晴海がバランスを崩して前のめりになった。その無防備な背中に向けて、峰の部分で思いっきり叩き、晴海は地面に叩きつけられる。
 「まるでやりすぎの稽古みたいね。これであの子が懲りてくれればいいのだけど」
 ソフィアの期待を裏切るかのように、突如、晴海を包み込むように電気のシールドが発生する。バチッという電気の音と共に、大治郎の刀に電流が流れ右手が痺れる。
 「さっきの電撃といい、その電気のシールドといい、それらは精霊術ではないね」
 「やっぱりわかる?私は電気人間じゃないけど、いつからか電気を出せるようになったわ。詳細はわからないけどね」
 「差し詰め、電気を自在に操る能力という感じかな。それを使ってどう戦うかを見せてもおうかな」
 刀ではなく精霊銃を構え、発砲する。しかし、たしかに精霊弾は命中するコースであったが、不可解な軌道で反れて壁に命中する。その動きを見て、晴海が不敵な笑みを浮かべる。

続く

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】第6章・その4

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第6章・招雷童子:その4

 飛び込んだ部屋は室内に置いてあった物を片付けたのか、ガランとしていた。正面の壁には沢山のモニターが設置されており、その傍らには椅子とテーブルが置かれていた。三人がモニターに近づくと今まで通ってきた所の映像が映し出されていた。その一箇所のモニターには、この部屋にいる3人の姿が映っていた。その3人が近づいたのを見たのか、椅子がくるっと回った。
 「ようこそ東雲家へ」
 椅子を回してこちらを向いた人物が喋る。椅子に座っているのは小柄な少女だ。服装はクラル王国内に存在する名門の初等教育学校の制服に帽子を被っている。
 「やっぱりあなた達には簡単すぎだったわね」
 「誰が今回の企画者かと思ったら子供じゃないの。どこかしら底が浅い部分が感じられた原因はそれね。言っておくけど、私と兄さんは市民をいっぱい集めたところでどうにかなる腕じゃないのよ。この女王様だけは違うみたいだけど」
 「納得いかないわね。私が遅れでも取ったというの?」
 「あなた、RIKISHIにボコボコにされていたじゃない。忘れたとは言わせないわ」
 紗江とソフィアがいままでの戦闘内容について口論を始めた。内容は至極子供染みた会話のため詳細は割愛する。
 「・・・・。まるで子供みたい。大人って堅いものかと思っていたのに」
 「大人と言っても色々あるぞ。紗江は余り参考にはならないな。普段、いかに仕事をラクにこなすかどうかばかり考えているからな」
 大治郎が紗江の普段の生活ぶりをバラす。それを言われて、厳しい表情を大治郎に向ける紗江であった。
 「今回の騒動の企画者は君だろう?せめて名前を教えてくれないかな?」
 「私は東雲 晴海(しののめ はるみ)。あなたの言うとおり、今回、クラル国の首都を巻き込んであなた達を倒したら、最大100億円!の企画を立ち上げたわ。本当に実施する事は思わなかったけど、初等教育学校の最後の夏休みの思い出になったわね」
 「それは残念だったわね。その企画は私達の勝ちで終わりよ。さっさと賞金の小切手でも貰って帰りたいんだけど」
 「ダメよ。まだ私がいるわよ」
 紗江の催促をばっさりきった晴海は、机に立てかけてきた長い刀を持ち出した。刃の長さは晴海より長い刀だ。
 「あなたが私達と勝負するというの?はっきり言ってあなたは弱いわよ。せめてオータムリーフフィールドで戦った狐くら――」
 紗江が言い終わらないうちに足元に雷撃が飛んできた。飛ばした本人はとても不機嫌な顔に変わっていた。
 「ごちゃごちゃうっさいわね!私は企画者よ!あなたの意見なんか聞いてないの!プログラムは最後まで実行するのよ!」
 ヒステリックに叫ぶ晴海に言い返そうとする紗江だが大治郎に制止される。
 「まあここは、しっかり相手をしてやるのも大人の務めというものだ」
 (さっきの電撃は精霊術を使った感じはしなかった。おそらく、鹿部と同じような独自の能力である可能性が高い)
 紗江を宥めつつ、晴海の正面に刀を抜いて大治郎が立った。

続く

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】第6章・その3

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第6章・招雷童子:その3

 「最初からそれを使えばよかったと思うわ」
 「いやどうだろうか。それはそれで問題が出そうだな。ヒトに向かって撃ったら死人が出てしまうかもしれない」
 「あの現状で出てもおかしくはないけどね(汗)」
 煙がもうもうと立ち込める中、戦車の爆発に巻き込まれた参加者が横たわって呻き声をあげていた。流石にノーダメージとはいかなったようだ。3人はその隙に逆三角塔に向かっていった。
 「この状況。この前もなかったか!?」
 「ええ、たしかにあったわ。あっちの壁に張り付いているヒトの家でね!」
 大治郎と紗江は、視線を後ろの壁にいるソフィアに向ける。
 「私を見ても何も解決しないわよ!」
 逆三角塔へ通じるエスカレーターの手前まで3人は到着したが、いわばここは最終防衛線。エスカレーターの上や斜面の途中に作られた台座にスナイパー等が設置され、向かおうと思うならすぐに撃ってくる。しかもご丁寧な事に、エスカレーターは下りに設定されて動かされており、上る速度が遅くなってしまう。
 「ミサイルを撃ち込みながら突撃した方が良さそうよ」
 状況は悪い。上層階、すなわち逆三角塔の上部の居住区に行くには長いエスカレーターを上らなければならない。その手前には踊り場があり、大治郎達はそこにいる。だが、その踊り場に行くには短い距離のエスカレーターを乗らなければならない。丁度、その踊り場で上と下から、大治郎達は攻撃を受けていたのであった。
 「戦車が来たわよ!ここの踊り場ごと私達を吹っ飛ばすつもりよ」
 「仕方ない。ミサイルでここを突破するぞ」
 大治郎はエスカレーターの途中にある台座に向けてミサイルを撃ち込む。爆発と共に台座が壊れ、スナイパーが叫び声をあげながら転げ落ちてくる。ソフィアがヒトを避けているが、死ぬような怪我は負ってはいないようだ。ミサイルと共にエスカレーターを駆け上がり、最終決戦もとい今回の企画を考えた人物がいる部屋に飛び込んだ。部屋に入ってしまえば、外の連中の攻撃は終了となる。

続く

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

リンク

フリーエリア

プロフィール

HN:
SHIN
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R