忍者ブログ

東都幻想工房

同人サークル・東都幻想工房の近況等を報告するブログです。 また、二次創作小説等も掲載しています。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】第6章・その6

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第6章・招雷童子:その6

 「そうか。その電気シールドは精霊弾の軌道を変える効果も備わっているのか」
 だとすれば、精霊銃ではダメージは与えにくい。銃に実弾を装填して乱射すれば、無理やりダメージを与える事はできるがそれはそれで失礼だ。ここは刀でしっかりと勝負するのが礼儀だ。幸い、この電気シールドは晴海の身体に接触するくらい接近しないと反応しないタイプのようで、刀でも素手でも素早く叩けば感電する事はない。晴海が左手を地面について電撃を飛ばしてくる。どうやら刀でも素手でも地面に触れていれば電撃を飛ばすことができるようだ。大治郎は横に再び避けたが、後ろの方でなにやら悲鳴が聞こえてきた。
 「雷が昇ってくるとは考えていなかったわね」
 雷が昇る。これは自然現象で、普通に発生するものである。一般的には“雷樹”と呼ばれ、冬に雪が降る地方で見かける事が可能である。また、クラル国に建てられたとても高い電波塔の頂上からも目撃例がある。自然現象の“雷樹”は雲と地面との距離が近い状況で発生するため、一般的な落雷(特に夏)よりも強力である。それを受けたソフィアは髪に一部ダメージが出ているようだ。先程、晴海が飛ばした電撃は、さながら対空の技であると考えられる。
 「だけど、電気を操る事が出来ても力量が伴っていなければ、意味はないぞ」
 そう言うと、大治郎は晴海に斬りかかった。防御しようとすれば弾かれ上に刀で叩かれ、雷撃を飛ばそうものなら素手で弾かれる。精霊術を唱えようとすれば、口を塞がれて詠唱ができない。電気シールドを張っているのにも関わらず、晴海の口を塞いでいることから電気シールドが全く役に立っていない事がわかる。晴海の頭の中では、何が大治郎に勝っているかを考え始めた。
 (私が勝っている物はないの?学校の成績では算数を除いて、他はトップクラス。毎月のお小遣いは百万単位!税金だって私の家は一般市民のうん千倍の額を納めている!時期に会社の会長にさせられるようだから、社会的地位も確率されている!・・・だめよ、どれもすでに負けている気がする!!)
 晴海は深く考える事をやめた。地位も名誉も所持金も頭の良さも大治郎に上回っている要素はないと察したからだ。やる事は1つ。後先考えずに攻撃を叩き込むしかない。
 「はあああああああ!!!」
 晴海が力任せに刀を振り回し、床に振り下ろす。刀は電気を纏い刃渡りがさらに延びている。振り下ろされた刀は激しくスパークし、周囲に電撃を撒き散らす。そして、大治郎の方に向かって落雷が連続して落ちていく。
 「あーあ。キレちゃったみたいね」
 晴海は一連の動作を大治郎目掛けて連発している。当てることよりも、とにかく繰り出す事を主体にしているようだ。それを受けている大治郎の方は何故か回避に徹している。怪訝な顔して紗江が見ていると、
 「これの電撃は晴海だけの力じゃないぞ」
 「つまりは力を増幅している触媒か何かあるということよね」
 攻撃を繰り出している晴海が放っている電撃の威力や範囲は先程とはうって変わって増大している。
 「刀だ。あの刀は雷の属性を持っている!それの効果が入っている!だが、それが分かれば問題はない」
 何がどう問題ないのかはわからないが、晴海が刀を振り上げる時に合わせて飛び越え、後ろに回った。一回転するように遠心力をつけて振り下ろすのだが、始めに背中を向ける動きがあるのと、雷の刃が出るのが、刀が晴海の頭の上に来た時である。その間の武器の軌道は単純であった。大治郎が放った遠心力をかけた薙ぎ払いを受けて、晴海は吹っ飛ばされていった。
 「あっ!」
 ソフィアの驚く声が聞こえた瞬間、ガラスが割れる音が聞こえ、下のプールに落ちる音が聞こえた。

続く
PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

リンク

フリーエリア

プロフィール

HN:
SHIN
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R