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東都幻想工房

同人サークル・東都幻想工房の近況等を報告するブログです。 また、二次創作小説等も掲載しています。

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東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode 5 ~【小説版】第5章・その5

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode 5 ~【小説版】
第5章・艶美な妖花・その5

 鬱蒼とした森の中で、怒声や銃声、そして精霊術の発動音が響き渡っていた。マンドラ族の族長であるセラッグの襲撃ともいえる状況であるが、戦況は大治郎達の優勢であった。
 「何故だ!何故、4人だけなのに手こずるのだ!?」
 大治郎達は前後をマンドラ族に挟まれている状態である。大治郎の後方はソフィアとチェリー、そして晴海と月島が担当してマンドラ族の一般人を相手にしていた。ソフィアはしょっちゅうクリーチャー退治をやっているだけでなく、自分の王国に蔓延り腐敗の温床となっていた“貴族連合”を物理的に叩き潰した実績があった。晴海は短期間ながらも大治郎に剣の指導を受けたり、不思議な夢と思われているやけにリアリティー溢れる世界で冒険をしたという不思議な体験で実力をつけており、さらに月島のサポートも有る。チェリーに至っては身体に組み込まれたブラックボックスだらけのシステムのおかげか、相手の攻撃を的確に対処しており、戦闘面は全く問題がない。大治郎とセラッグの場にも一般戦闘員がいたが、瞬く間に叩き伏せられてあっという間に一騎打ちの状況となった。セラッグの攻撃は、一般戦闘員と同じく触手からの弾丸や叩きつけ、そして精霊術の3種類は変わらなかったが、防御についてはピカイチで数多くの触手で大治郎を間合いに近づけなくしたり、一般戦闘員よりも多い触手で移動を繰り返したり、時折、捕まえている不知火を盾にしようとしたりしていた。
 不「わわわ!何をするんですか!?私を殺す気ですか!!??」
 大治郎が攻撃を仕掛ける際にセラッグが、不知火を盾にしようとするとこの発言が飛び出してくる。
 大「そりゃ、捕まっているお前さんが悪い。自力で脱出してくれ」
 不「そんな殺生な・・・・・・」
 大「さて、そちらの防御技術が高いのはわかった。しかし、このまま防御一辺倒ではスタミナがなくなってしまうぞ?勝ちたいならそろそろ、本格的に攻めてきた方がいいぞ」
 セ「フフ。読まれていたか。しかし、ここまで私の攻撃を防ぎつつ、攻撃を仕掛けてくる相手は実に34年ぶりだ。もちろん、このまま押し切られる気はないさ、なあ」
 妖しい目つきを不知火に向けた途端、一つの触手が不知火に食いついたのであった。言葉にならない呻き声をあげながら、セラッグの体内に呑み込まれてしまったのであった。
 セ「さあ、ここからが本番よ」
 大「おいおい。スタミナが減ったからって不知火を食べてしまうとは」
 セ「そう思ってじっと見ていたあなたも随分と人が悪いじゃない。こいつを呑み込んでいる触手を切り落とす事くらいできたでしょうに。フフ、中でもがいているようだけど、すぐに大人しくなるわ」
 大「早めに返してもらおうか。道案内がいないとこの先不便だからな」
 セ「なら、ここに突きはやめておいた方がいいわよ。あの火狐に当たったら死んでしまうかもしれないわよ?」
 セラッグがヒトでいう下腹部にあたる部分をポンポンと叩く。どうやら不知火はあの部分に格納されているようだ。
 セ「焦る必要はないわ。この戦闘が終わったらこいつは開放するわ。魔界のお偉方に喧嘩を売るようなレベルまでの事はしないわ。だけど、こいつには私のために役立ってもらうわ」
 そういうとセラッグは右手に十手を持ち、左手に炎をまとわせ始めた。
 大「火か。不知火はたしか火狐だったな。だけど火はあんた達にはご法度ではなかったのか?」
 セ「火を見ただけでパニックを起こすマンドラ族は新米戦闘員位よ」
 その台詞と同時に、大治郎の後方からキャーキャーと悲鳴が響き渡ってきた。あまりの叫び声のため、セラッグも大治郎も視線を向けてしまった。見ると火を纏った木の葉が辺りに降り注ぎ、多くのマンドラ族がパニックを起こしていたのだ。ソフィアが木と火の複合属性を持つ精霊術を発動したのだ。よく考えれば、烈炎脚やブレイズナックル等の火属性の攻撃方法を多く持つソフィアが、それを縛ってまで戦い続ける訳がなかった。今がチャンスだと言わんばかりにパニックを起こしているマンドラ族に対して手当たり次第、攻撃を繰り出している。
 大「どうやらここにいる連中のほとんどは新米戦闘員のようだぞ?」
 セ「実に嘆かわしい。ここ最近、騒動が起こっていないとすぐこれだ。後で徹底的に鍛錬をこなす必要があるようだな。さて」
 セラッグがお話はこれまでだと言わんばかりに、炎を纏った十手で横薙ぎに払う。
 セ「もう感づいていると思うけど、マンドラ族は体内に格納した生物の能力を使用する事が可能なのだ。ただし、格納した生物が生きている事が条件だがな」
そういうとファイアストームを放つ。草タイプが炎タイプの技を使うという似つかわしくない状況もそうだが、触手をうまく使ってサマーソルトまで繰り出してくる。たしかに前の騒乱の時に見た不知火の技であるが、あの重そうな体格では、ウエディングドレスを着た花嫁がサマーソルトをしているのとまるで同じだ。しかも、ご丁寧に狐火まで再現している。
 セ「轟破炎裂衝!!」
 セラッグが十手で十字の形の炎弾を飛ばし、回転斬りで炎の衝撃波を周囲に飛ばす。大治郎は難なく回避したが、倒木や一部の木に火が付き、周囲が紅色に染め上げられた。その光景に慌てたセラッグ族が消火作業に入る。
 大「不知火のヤツ、こういう技も使えたのか。あの時はこういうのは使ってこなかったな」
 以前、晴海が引き起こしたイースト・ペイジング王国の中心街で行われた大規模な争乱中に、不知火と大治郎達は一戦交えていた。あのとき、このような大技使ってこなかったのは明らかに別の目的で動いていたと考えられる。ひょっとしたら、今回の騒動はあの騒動があった夏から静かに動いていたのかもしれない。
 セ「私に接近戦を挑むか!愚か者め!マンドラ族に接近戦を挑むのは魔界では無謀と言われているのだ!」
 セラッグの腹部から隠れていた触手が飛び出し、大治郎の刀と足を拘束してしまったが、
 セ「ウゲェ!?」
 唯一、セラッグの拘束を逃れていた大治郎の左手が、腹部にめがけて強烈な拳を繰り出したのだ。
 大「接近戦がこちらにとって不利だというが、それがどうしたと言うんだ。ヒトは勝利を確信時に最も致命的な隙をさらす。勝利の余韻に浸るのは完全に相手を倒した時まで我慢する事だ」
 そして、セラッグがのけぞっている合間に顎に向かってもう一撃を繰り出す。まともに喰らったセラッグはそのまま後ろに倒れこんでしまった。
 大「誰かの力に頼るのは自由だが、最終的に勝負を決めるのは本人の技術さ」
 セラッグが倒れた音が響いた事により、この地での戦闘は終了となった。
【登場人物紹介・その8】
■名前:マロン・セラッグ
■種族:マンドラ
■性別:女性
■職業:族長
■好きな物:肉(人間含む)、花等の自然な物
■嫌いな物:宝石類
■誕生日:3月16日
魔界に住む少数民族の1つであるマンドラ族を束ねる女性。外見はウエディングドレスをさらにふくらませ、花やフリルをふんだんにあしらったドレスにヴェールがついた花の冠を頭にのせている。特急列車のドアは通れないだろう。普通列車のドアを通れるかも怪しい。
下腹部には内臓の他に、色んな物が格納できるポケットみたいな器官や沢山の触手が隠されており、日常生活や戦闘に使用される。また、マンドラ族の特殊能力として、呑み込んだ相手の能力を使用する事ができる。ただし、吐き出したり、呑み込んだ相手が死んでいたりすると能力は使えない。セラッグの話によるとマンドラ族の呑み込んでいる時の引き込み力は凄まじく、抜け出すのは非常に困難らしい。ただし、呑み込まれた相手は漿液の効果で健康になってしまう。外科手術が必要な大ケガも治癒する事ができる。たまに病気の治療で訪れる人が来るらしいが、変なセラピーと思われても困るため、基本断っている。
なお、マンドラ族は他種族に対して排他的な態度をとるのが大勢いるが、それはかつて万能の特効薬としてマンドラ族が乱獲されてしまった事が起因している。血や体液、肉の全てが薬になるそうだ。

第6章へ続く
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