東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第6章・招雷童子:その2
東雲家の屋敷は広大だ。特に逆三角形と呼ばれる遠くからも見える建築物が目立つ。一直線に本陣に来られないように一部の通路には壁が作られている上に、順路を示す矢印まで打ち付けられている。
「配置についた各部隊が次々と撃破されています!」
「侍と忍者みたいな巫女と格闘家だけでここまで蹂躙されるとは!あの2人が強いといえども。傭兵として色んなクリーチャーと戦ったが本当に現実か!?」
「戦車が壊されたすぐに来るぞ!!」
最終ステージに選ばれた参加者は腕が立つ傭兵か軍人。もしくは勢いがある大量の一般市民の集団に分かれている。しかし、そのような構成であったとしても3人にとってはもはや障害ではなかった。戦車等の車両は破壊され、人々は叩き伏せられるか、術に巻き込まれ落ち葉のように舞い上がる。屋敷に入ってもそれは変わらなかった。1階と2階が吹き抜けになっている廊下であるが、2階に上がれないようになっている厳重なバリケードを紗江が破壊。1階と2階から3人を攻撃しようと考えていた集団は突如入り込んできた紗江とソフィアによって混乱状況に陥った。統率を失った集団はただやられるだけであった。1階に配置されていた部隊も2階から落ちてきた人を見て、状況を把握したようだがすでに遅し。2階からの紗江とソフィアの攻撃も加わり1階の集団も壊滅した。残りの関門は東側と西側をつなぐ連絡通路と東雲家の部屋がある逆三角塔に登る通路だけだ。連絡通路にはバリケードが作られており、その隙間から精霊銃のライフルが覗いてるのがわかる。3人は近くの柱の影に隠れて睨みあう。
「あの壁はさっきとは違うわね」
試しにソフィアが精霊銃を壁に向かって発砲するが、僅かに欠けただけに終わった。
「頑丈ね。あの時の車ほどはないけど」
反撃の銃撃を柱の影に隠れながらソフィアが呟く。
「兄さん、エネルギーミサイルを撃ち込んでみたらどうかしら?」
エネルギーミサイルとは、大治郎が持っている精霊銃に装備された追尾機能を持つミサイルの事である。ミサイルの形に実体化したエネルギーが対象に当たると爆発が発生する。精霊銃にはそのような機能はなく、発掘された遺失技術を取り付けている。原理はよくわかっておらず、その爆発は普通のミサイルと同じである。そして何故か、ロケットランチャーの弾や鉄砲の弾などを吸収してミサイルのエネルギーにする事ができる。主な使用方法はクリーチャー退治や爆発を利用して壁に穴を開けたり、障害物を取り除いたりする時に使われる。今回は目の前にあるバリケードを破壊するのにうってつけだ。早速、大治郎がバリケードに向かってミサイルを撃ち込んだ。
ドガッシャッゴンッ! ボンッ!!
ミサイルがバリケードの銃眼の所に命中し、爆発と共に勢いよくバリケードが崩壊する。その途端、大きな音と共に何かが通過し、遠くで爆発音が発生した。
続く
PR