東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第6章・招雷童子:その3
「最初からそれを使えばよかったと思うわ」
「いやどうだろうか。それはそれで問題が出そうだな。ヒトに向かって撃ったら死人が出てしまうかもしれない」
「あの現状で出てもおかしくはないけどね(汗)」
煙がもうもうと立ち込める中、戦車の爆発に巻き込まれた参加者が横たわって呻き声をあげていた。流石にノーダメージとはいかなったようだ。3人はその隙に逆三角塔に向かっていった。
「この状況。この前もなかったか!?」
「ええ、たしかにあったわ。あっちの壁に張り付いているヒトの家でね!」
大治郎と紗江は、視線を後ろの壁にいるソフィアに向ける。
「私を見ても何も解決しないわよ!」
逆三角塔へ通じるエスカレーターの手前まで3人は到着したが、いわばここは最終防衛線。エスカレーターの上や斜面の途中に作られた台座にスナイパー等が設置され、向かおうと思うならすぐに撃ってくる。しかもご丁寧な事に、エスカレーターは下りに設定されて動かされており、上る速度が遅くなってしまう。
「ミサイルを撃ち込みながら突撃した方が良さそうよ」
状況は悪い。上層階、すなわち逆三角塔の上部の居住区に行くには長いエスカレーターを上らなければならない。その手前には踊り場があり、大治郎達はそこにいる。だが、その踊り場に行くには短い距離のエスカレーターを乗らなければならない。丁度、その踊り場で上と下から、大治郎達は攻撃を受けていたのであった。
「戦車が来たわよ!ここの踊り場ごと私達を吹っ飛ばすつもりよ」
「仕方ない。ミサイルでここを突破するぞ」
大治郎はエスカレーターの途中にある台座に向けてミサイルを撃ち込む。爆発と共に台座が壊れ、スナイパーが叫び声をあげながら転げ落ちてくる。ソフィアがヒトを避けているが、死ぬような怪我は負ってはいないようだ。ミサイルと共にエスカレーターを駆け上がり、最終決戦もとい今回の企画を考えた人物がいる部屋に飛び込んだ。部屋に入ってしまえば、外の連中の攻撃は終了となる。
続く
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