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東都幻想工房

同人サークル・東都幻想工房の近況等を報告するブログです。 また、二次創作小説等も掲載しています。

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東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】第5章・その1

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第5章・爆裂暴走車両:その1

 一ノ橋との戦闘が終わったシーサイドガーデンを後にした一行様は、近くの環状1号国道の高架下の駐車場に来ていた。そこには、帽子や覆面とローブで肌をほとんど晒していない格好をした人物とちっぽけな車がだたっ広いに佇んでいた。一行はその人物を良く知っている。
 「今日は変わった色ね。夏服かしら?」
 紗江が早速ツッコミを入れる。以前は濃い小豆色の帽子やローブを着ているのだが、今日は帽子もローブも明るいピンク色であった。
 「どう?中々、攻めているでしょ?」
 「(攻めている点がずれている気がする)中々、目立っててわかりやすかった。ところで、何でここにいるんだ?」
 「何でここにいるかって?ソフィアに呼ばれたのよ。車を運転して欲しいとお願いされたんだけど・・・・・・」
 大治郎の返答に合わせて、セレスが車をバンバンと叩く。荷台が有る軽トラックだ。郊外の田園地帯で誰もがよく目にする車だ。
 「ねえ、ソフィア。私に運転して欲しい車というのはこの軽トラかしら?」
 「ど、どうやらそうみたいね」
 「ひょっとして、どういう車を運転するかまでは確認してなかったのね!?」
 「た、たしかに車に乗って移動して欲しいとまでは聞いていたけど―――」
 「サンダースピア!!」
 セレスから放たれた雷撃がソフィアを襲う!痺れたソフィアは仰向けにひっくり返った。
 「さて、次のステージについてソフィアから聞いたかもしれないけど、改めて私から言うわ。次のステージは車に乗って環状1号国道を移動するの。車が壊れたり、車から降りたりしたらリタイアになるから注意してね」
 その説明を受けて大治郎と紗江はきょとんとした顔をした。全てを察したセレスは再び、ソフィアに向けて雷撃を放った。軍の参謀が一国の女王を電気で丸焦げにする異様な光景が目の前で展開された。
 「さっさと乗れ!この猪野郎!」
 黒焦げになってのびているソフィアを助手席に放り込み、大治郎と紗江を荷台に乗せた軽トラは環状1号国道に向かっていった。

続く
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東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】第4章・その5

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第4章・火を吹く人:その5

ブォオオッ!

 毒状態が解除されたのを見て、一ノ橋は黄金色のブレスを吹き出した。
 「あれはストーンブレスじゃないか?一部のクリーチャーが使う厄介なヤツだぞ」
 「それならあの位置は確実に直撃ね。元に戻るまでに、池ポチャされたらリタイア確定よ」
 一切の行動が出来なくなる石化状態になってしまうと、精霊術も当然使えなくなる。ただ、石化というのは精霊術に基づく呪いのような物で、道端に飾られている像のような無機物になるわけではなく、石のような物質が細胞レベルで身体にくい付いて硬くなってしまう現象である。全く身動きがとれなくなってしまうが、猛スピードで走るトラックに轢かれても無傷で済むほど頑丈になる。解除には精霊術か一定時間の経過、もしくは石化破砕効果がある攻撃を受けるのいずれかである。一定時間の経過は個人差があり、受けた人物の魔力が高ければ高いほど、元に戻る時間も早くなる。石化破砕の場合は身体へのダメージが大きいため、日頃から鍛えている人しかオススメできない。石化状態にする攻撃を使うクリーチャーが出没する地域に出かける人々は、石化状態を防止する装飾品を見につけるのが一般的な対処法である。

ボガッ!

 鈍い音がすると同時に、黄金色のブレスを真上に噴出しながら一ノ橋が吹っ飛ぶ。黄金色の靄から正拳を突き出したソフィアが現れ、一ノ橋は鼻から血を噴出しながら身を起こした。
 「本日、二度目の鼻血ブーの感覚はいかがかしら?石化してないのが不思議で仕方がない顔をしているわね。何故だと思う?」
 「そうか、さっきの精霊術は“プリィヴェンシャン”か」
 大治郎が呟いた“プリィヴェンシャン”は治癒系の精霊術のなかでも上級にカテゴライズされる。毒や石化といった状態異常を治癒するだけでなく、一定時間はそれらの状態異常を防いでくれる効果がある。ただでさえ治癒系は上級精霊術といわれているので、この術がどれほど難しいかは明白だろう。
 「さて、KABUKIも堪能したからそろそろ終わりにするわよ。こんな所で足踏みを何かしてられないわ」
 そう言うと一ノ橋の額に向けて、ダッシュでスピードをのせた拳を振り下ろす。何のためらいもなく、殴りつけるのはライオンがどんな獲物でも全力で狩りに行く姿そのものだ。殴りつけられた一ノ橋が地面でバウンドしている間にソフィアの烈炎脚を叩き込まれ、激しい水しぶきをあげて池に落ちていった。なお、池ポチャした一ノ橋は、気絶したか鳩尾にまともに受けたがどうかはわからないが一向に浮かんでこないため、どこかで待機していた救護班に引き揚げられていた。
【登場人物紹介・その4】
・氏名:一ノ橋 愛宕(イチノハシ アタゴ)
・性別:女性
・誕生日:9月21日
・武器:素手、煙管
・主な技:KABUKIジャンプ、ファイアーブレス、ポイズンプレス、石化ブレス等
・職業:KABUKI役者
日本古来から伝わっているKABUKIを行う役者。幻惑するような緩慢に見えるその独特な動きはクリーチャーとの戦闘もできる。さらには火炎等を口から吹く事もできる。精霊術とは一味違うこの武術にはKABUKIパワーなる物が存在しているという説が強い。しかし、それがどんな物のかは全くといって資料が残っていないため、かつて日本に存在すると言われた八百万の神のいずれかの力を借り、使役しているのではないかと論文が提出された事がある。はっきりしている事は、KABUKIは男性しか行えず、女性は参加できなかった時代がはるか過去にはあったというだけだ。

第5章へ続く

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】第4章・その4

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第4章・火を吹く人:その4

 「奇妙な動きといい、変な武器を出したりするわね。どこにしまっているのかしら?」
 一ノ橋と対戦中のソフィアは、いくつかの疑問を抱いた。KABUKIといい、SUMOUといい、普通の武術とは随分と違う部分がある事がわかった。目の前にいる一ノ橋の挙動だが、火を吹くだけでも異質だが、重力の影響を無視したかのようなふわりとした跳躍。どこにしまっているのかわからない大きな下駄を取り出して盾として使い出す。水が飛び出してくる不思議な扇子をブーメランのように投げてくる。さらには、どこからか三味線や小鼓、“ヨォ~”という掛け声のような物が、聞こえているような気がしている。
 「どこにしまっているかって?それは企業秘密さ」
 (案外、2人が持っている物質圧縮ポーチみたいな物をもっているのかしらね)
 「それよりも、火はそろそろ飽きたんじゃないかしら?」
 突如、放たれた紫色の霧を吸い込んでしまったソフィアは、激しく咳き込む。それと同時に身体全体が熱くなり、口腔に鉄の味が広がった。
 「毒を浴びたな」
 大治郎がポツリと呟く。ソフィアは思いっきり吸い込んでしまったようで胸を抑えて激しく咳き込み続けている。
 「どうかしら、特製ポイズンブレスのお味は?私が吹けるのは火だけじゃないのよ」
 「たしかにそれには驚いたわ。ただ、毒を消すのは簡単よ」
 咳き込みが落ち着いたソフィアが膝をつきながら、なにやらぶつくさと呟いた後、淡い光がソフィアを包んだ。
 「セレスから治癒術を教えてもらっててよかったわ」
 「治癒術か。それを覚えているとは知らなかったな」
 一ノ橋は悔しそうに呟いた。精霊術には怪我を治したり、解毒を行ったりする治癒術が存在するが、どれも扱いが難しいため、しっかりとした効果を得るには精霊術に対するそれなりの熟練が必要となる。ただ、サウザント・リーフ王国では治癒術を利用した病院が多数存在する事により、治癒術の指導を行う精霊術師が多く在籍している。そのような状況になった背景には複雑な事情があるが・・・。

続く

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】第4章・その3

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第4章・火を吹く人:その3

 「へへぇ、サウザント・リーフの女王様が相手か。それなら勝機はあるかもね」
 「火を吹ける程度で、そう言われるとは随分と見くびられた物ね」
 「そうかい?三ツ葉山にはたいそう痛い目に合わされたそうじゃないか。それを考えると、2人とあんたの実力の差は歴然。2人なら三ツ葉山はもちろん私だってあっという間にやられちまうよ」
 「そんな事・・・・、百も承知よ!修羅場を超えた数は圧倒的な差があるわ!当然の事じゃない!」
 「少しは頭に血が昇ったようだね。その状態で冷静な判断ができるかな!」
 戦いにおいて、相手に動揺を誘う精神攻撃はわりと基本だ。ただ、言葉が通じない相手には意味はないが。しかし、一ノ橋が言う事は当たっていた。大治郎や紗江と比べて、修羅場もとい命のやりとりが発生する戦いの場数は圧倒的な差が存在している。クリーチャー退治や貴族連合を潰した経験をも霞む程の差が。
ボッ!ボッ!ボッ!
 一ノ橋の口から火が放たれる。先程のブレスとは違い、火の塊が車のような速さで迫ってくる。ソフィアがはとっさにしゃがんでそれを回避すると同時にスライディングからのアッパーによる連携を叩き込んだ。
 「おっと」
 ソフィアが顎に向けて放ったアッパーは、後少しの所だったが両手で、受け止められてしまった。
 「スライディングからのアッパーとは中々いい考えじゃないか。だけどツメが甘いんじゃないかな?」
ブオッ!
 ソフィアの目の前でファイアーブレスを一ノ橋は放った。至近距離からの猛炎により、一瞬でソファの姿は炎の中に消えてしまった。真夏の暑さに加え、ファイアーブレスの熱さが加わり、周囲はさらに蒸し暑くなる。
バキッ!
 派手な音と共に一ノ橋が、炎を吹き上げながら後方へ吹っ飛ぶ。消えた猛炎の中から、若干焦げた感じがする正拳を突き出したソフィアが現れた。一方、一ノ橋は呻き声をあげながら、鼻を押さえつつ悶えている。一ノ橋の鼻を押さえている手から血がボトボト流れているため、ソフィアの渾身の突きが、一ノ橋の鼻を襲ったのは明白だ。
 「あれだけ偉ぶっていたくせに、一発で鼻血ブーとはね。いささか、打たれ弱いんじゃないかしら?」
 三ツ葉山の張り手を喰らって、鼻血を出していた人物の発言とは思えない。
 「私をぶん殴るためにわざと踏み込んだのかしら?いつまで持つかしらね、その戦い方」
 相手の攻撃を受け止めて殴る。攻撃を受けつつそのまま殴る。体力勝負の戦いとなった。一ノ橋も徒手空拳の心得がある模様でソフィアの突きや蹴撃に対応している。この世界の武器を使わない武術は、全てクリーチャーに対しての対応として素手での戦い方が組み込まれているのがほとんどである。そのため、三ツ葉山が相撲がないシーズンにクリーチャー退治を行えるのだ。

続く

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】第4章・その2

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第4章・火を吹く人:その2

 シーサイドガーデン。日本中に沢山ある海の傍の庭園であるが、クラル・イースト国内にあるこの“シーサイドガーデン”はクラル城から1番近い所にある事が特徴である。クラル湾から入ってくる海水による潮の干満で変わる景色を楽しめる。超高度文明時代、それ以前より高層ビルで囲まれる以前よりそこに存在し続けている庭園である。
 「扉を叩き壊して入ってきたけど大丈夫かしら?ここは文化的遺産価値がある所でしょ?」
 「修理費は東雲グループが出すんだろ?それに壊れるのが嫌なら使わせはしないだろう」
 「もう来たの?思っていたよりずっと早かったわね」
 町内会の縁日にいるような恰好をした快活な女性がそこにいた。胸にサラシを巻いているのがわかる。
 「あの妖弧の次の相手だから、かなりの手練れのはずよ。兄さん、注意して」
 「残念だけど、あなた達と戦う順番における私達の強さはあまり関係ないみたいなのよ。私は前の妖狐よりは強くないはずよ。あなた達も見たと思うけど、自分を中心に高熱地帯を展開する事は私には無理よ」
 「じゃあ、あなたは何ができるのかしら?」
 快活な女性は大きく、息を吸うと勢いよく火炎を吹き出した!
 「さっきの妖孤に続いて、また火属性。しかも今度はブレス系ね。火炎放射なんてクリーチャーみたいだわ」
 「クリーチャーとはご挨拶ね。私のKABUKI仲間なら誰でもできるわよ。基礎中の基礎だしね」
 KABUKI。それはSUMOUと並んで、はるか昔の日本から今に残っている演劇の1つである。一時期は存続の危機にあったとか、女性が演劇を行う事を禁じていたという記録が残っている。しかし、女性が再び演劇を行えるようになった時期や、ブレス系の技がいつから使えるようになったとかの記録は残ってはいない。ただ、この時代においてはKABUKIもSUMOUと同じ体術に分類されているため、戦闘能力があることは実証されている。
 「まあ、それはいいわ。始めましょう。私は一ノ橋。使う技はもう見たわよね?」
 「いいわ。私が出るわ」
 ソフィアが一ノ橋の正面に立った。

続く

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