東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第4章・火を吹く人:その2
シーサイドガーデン。日本中に沢山ある海の傍の庭園であるが、クラル・イースト国内にあるこの“シーサイドガーデン”はクラル城から1番近い所にある事が特徴である。クラル湾から入ってくる海水による潮の干満で変わる景色を楽しめる。超高度文明時代、それ以前より高層ビルで囲まれる以前よりそこに存在し続けている庭園である。
「扉を叩き壊して入ってきたけど大丈夫かしら?ここは文化的遺産価値がある所でしょ?」
「修理費は東雲グループが出すんだろ?それに壊れるのが嫌なら使わせはしないだろう」
「もう来たの?思っていたよりずっと早かったわね」
町内会の縁日にいるような恰好をした快活な女性がそこにいた。胸にサラシを巻いているのがわかる。
「あの妖弧の次の相手だから、かなりの手練れのはずよ。兄さん、注意して」
「残念だけど、あなた達と戦う順番における私達の強さはあまり関係ないみたいなのよ。私は前の妖狐よりは強くないはずよ。あなた達も見たと思うけど、自分を中心に高熱地帯を展開する事は私には無理よ」
「じゃあ、あなたは何ができるのかしら?」
快活な女性は大きく、息を吸うと勢いよく火炎を吹き出した!
「さっきの妖孤に続いて、また火属性。しかも今度はブレス系ね。火炎放射なんてクリーチャーみたいだわ」
「クリーチャーとはご挨拶ね。私のKABUKI仲間なら誰でもできるわよ。基礎中の基礎だしね」
KABUKI。それはSUMOUと並んで、はるか昔の日本から今に残っている演劇の1つである。一時期は存続の危機にあったとか、女性が演劇を行う事を禁じていたという記録が残っている。しかし、女性が再び演劇を行えるようになった時期や、ブレス系の技がいつから使えるようになったとかの記録は残ってはいない。ただ、この時代においてはKABUKIもSUMOUと同じ体術に分類されているため、戦闘能力があることは実証されている。
「まあ、それはいいわ。始めましょう。私は一ノ橋。使う技はもう見たわよね?」
「いいわ。私が出るわ」
ソフィアが一ノ橋の正面に立った。
続く
PR