東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第5章・爆裂暴走車両:その2
環状1号国道は、クラル・イースト王国の中心部周辺を周る全線が高架、もしくは地下化されたバイパス道路となっている。起伏や直線、カーブが豊富にあるため、物流や人の移動が止まる深夜に度々、スピードに魅入られた者達がこの国道を疾走している。その道路に入るための流入口も多く設置されている。
「流入部から敵よ。追い払って」
ソフィアがミラーに移ったバイク集団を確認して大治郎達に伝える。
「拳銃型精霊銃で迎撃するのはギャングのドライブバイみたいね。だけど、一般人から世紀末臭がするのは何故かしら?」
「それは考えなくていいさ。撃ってくれ」
襲い掛かってくる一般市民が乗るバイクに向けて精霊銃を撃つ。どうやらバイクを動かしながら、精霊銃を撃つまでのスキルを身につけている一般人はあまりいないようで弾幕が薄い。
「戦闘の素人相手ならハンドガンタイプでなんとかなるが、経験者が集団で迫ってきたら、持たないぞ!」
「次が来たわよ!どうやら軍人や傭兵がいる混成部隊ね」
「だったら、これが使えるわよ」
セレスが運転席の窓から赤色のアサルトライフル型の精霊銃を出す。どこかで見た覚えがある赤色の銃だ。
「新米からの実戦データをフィードバックした改造型よ。1度のチャージで無属性の精霊弾なら300発撃てるわよ。エネルギーがなくなったら2秒でリチャージが完了するわ。発射速度は無属性精霊弾を基本として、1分間に600発。可変カートリッジだから属性を変えることもできるけど、エネルギーの消費量や発射速度も変わるから注意してね」
「早速、乱射してみよう」
アサルトライフルを構え、追っ手連中が乗っているバイクに向けて発射する。乾いた音と共に弾丸が発射され、その弾幕を受けたバイクは車輪がバーストするまでもなく、運転手に命中し、はるか後方へと転がっていった。
「ハンドガンより流石に楽だな」
「空から何か来たわよ!」
「今度は航空兵器か。バイクより厄介だが、あの形はどこかで見た事があるぞ?」
上空から、ヘリコプターと小型の人工衛星みたいなドローンが飛んでくる。その中で小型の人工衛星のようなドローンはサウザント・リーフ王国で見た物と同じであった。
続く
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