東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第5章・爆裂暴走車両:その4
赤い大きなピックアップトラック。大治郎達が乗っている改造軽トラックよりも二周り以上も大きく、荷台には機銃が設置されているのがわかる。様子からしてこの環状1号国道のボスを務める役割なのはたしかだ。乗っている人数は2人。運転席と荷台にだ。
「月島ぁ!配置につけ!」
「会長!機銃の準備は出来ています!」
「よーし、相手の状態はどうだ!」
「会長!何故かソフィア選手が助手席で黒焦げになってのびているままです!情報によれば、このステージが開始された当初から黒焦げのようです!」
響くエンジン音に邪魔されて、軽トラに乗っている大治郎達には会話はよく聞こえなかったが、乗っている人物には見覚えがあった。
「おいおい、あれは東雲グループの会長じゃないのか。企画者自ら、迎撃に出てくるとは」
「私、前にクラル姫主催の園遊会に言ったとき、会った事あるわよ」
ピーガガガッという耳障りな音がして、スピーカーからけたたましい声が響いてきた。
「やあやあ、御三方。東雲グループ主催のバカ騒ぎに参加していただき、今回はどうもありがとう。さて、状況も状況だ。察しのいい君達なら、すでに感づいているだろうが今回のステージボスは我々だ。まずは挨拶といこうか。月島!」
ガガガガガガガガッ!!
月島と呼ばれている人物が荷台に設置されている機銃から精霊弾を発射する。大治郎と紗江はそれを弾くか、何発かガンッ!ガンッ!と軽トラに当たっていた。
「ちょっと!この車に弾を当てないで!この車が壊れたら強制的にリタイア扱いよ!」
セレスが運転席で叫んでいる。いくら改造された車とはいえどの程度の攻撃まで耐えられるかはわからない。すなわち、車に出来る限りの被弾は避けて戦わないといけないという事である。
「いつまで寝てるつもり?さっさと起きなさい!」
セレスが助手席で焦げてるソフィアをひっぱたき、セレスは目を覚ました。
続く
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