この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第8章・その11
数日後、佐潟鎮守府に大きな荷物が届けられた。ダンボールはすぐに工廠に運び込まれ、斉藤立会いの下、開封される事になった。
「提督、この荷物は一体なんですか?このような大きな物を陳情したという連絡は受けていませんよ」
「これはこの間の陣内提督からのお礼だよ。対空兵装が芳しくない事を伝えたら、いい対空兵装があるからという話になって譲ってくれたんだ。開けてみよう」
ダンボールの梱包を破いていくと赤色の砲弾が姿を現した。
「三式弾か・・・」
三式弾。弾を発射した後、上空において散弾をばらまく対空砲弾である。過去の大戦でも同様の名称の物が使用されていたが、艦娘達が使うのは時限式ではなく遠隔操作で散弾を発射するタイプとなっている。散弾を発射するタイミングは妖精もといコロボックルがそれを行っている。これを使用できるのは重巡洋艦や戦艦タイプの艦娘であり、佐潟鎮守府の現在の状況では金剛と鳥海がこれを使う事ができる。
「テートク。何か御用デスカー?」
「来たか金剛。君にプレゼントだ」
そう言いながら、三式弾を金剛に渡す。
「Wow!三式弾デスネー。これで敵艦載機を蹴散らすネー」
「しかし提督。出撃するにも燃料が足りませんよ。大淀からも明日にならないと出撃できないと言われているはずです」
「あー、そうだったな。何かこう、コンスタントに資源が手に入る方法はないのかな?皆でバイトでもするか?」
「こんな田舎にアルバイトできる所はないと思うデス」
全員が溜息をついた。
翌日、磯波達は例の海域に出撃していた。最近は出撃に資材を使っていたため、鎮守府の生活環境の改善もとい修理できず、徐々に衛生面が悪化してきたのだ。大淀から今回の出撃後、次は鎮守府の修理に取り掛かって欲しいと念を押されてしまった。何はともかく、今回の出撃で敵主力部隊を叩かなくてはならない。
『今回の出撃の目的を確認する。今回は敵主力部隊を発見、撃退する事だ。途中で深海棲艦に遭遇したとしても逃げれる場合は逃げても構わない。偵察機を飛ばし、索敵を入念に行え。敵の艦載機が届いてきたら、対空迎撃で追い払え!以上だ』
「提督、それなんですが、先程、鳥海さんの偵察機が敵部隊を発見したのですが、偵察機を追ってその部隊がこちらに向かっているみたいです。敵部隊にはヌ級がいるようです」
『成程。この間出会った部隊かもしれないな。このまますんなり行かしてくれるわけはないな。各員、戦闘準備だ。被害はできるだけ出さずに追い返すんだ』
「了解!」
斉藤の読みどおり、偵察機が戻ってきた後、少しの間をおいてその方向の空に黒い豆粒が見えてきた。
「三式弾準備できたデース。いつでも行けます!」
「機銃の準備もOKです」
黒い豆粒がだんだん大きくなってきた。敵艦載機は真っ直ぐこちらに向かってきている。この間出会った時とは若干少なく感じるが、そこまで気にする余裕はなかった。
「撃ちます!ファイアー!!」
砲身に詰まった三式弾が敵艦載機目掛けて飛んでいく。上空でさらに爆発し、艦載機目掛けて散弾が放たれる。上空で爆発と思われる閃光が見えていくつかの艦載機が海に落ちていくのが見えた。
「もう一回いきマース!」
「対空機銃、撃ち方よーい!」
もう一度三式弾が発射され、敵艦載機が落ちる。それをすり抜けた艦載機が迫ってくるが、機銃による攻撃でさらに減らす。隊列を乱され、数を減らした艦載機からの攻撃はバラバラであり、回避には難しくはなかった。その艦載機が戻っていった方向の海面に深海棲艦の艦隊が姿を現していた。
続く