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東都幻想工房

同人サークル・東都幻想工房の近況等を報告するブログです。 また、二次創作小説等も掲載しています。

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~艦隊これくしょん 佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:その17~【二次創作小説】

この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。

佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第三章・その5

 「全員揃ったな。では、改めて紹介しよう。新しいぎせ…食客となった軽巡大井だ」
 「ちょっと待って。アンタ、今、犠牲者と言いかけたでしょ。どういう意味よ!」
 「と、まあこんな感じでとても短気で、知っているかもしれないが重度な妄想癖も持っている。まあ、こんなだが皆で仲良くやってもらいたい」
 「提督の事を平然とアンタ呼ばわりする時点でかなりの問題児だと思います」
 「うるっさいわね」
 明石の意見に反応し、癇癪を起こした大井が叫ぶ。
 「お、大井さん。これが佐潟2174艦隊の部隊章です。後で服に付けておいてください」
 「何よ。このデザインは初期のままじゃない」
 大井が受け取った部隊章は2174の文字の上に波と錨のマークが描かれていた。艦娘の鎮守府の部隊章は提督が1回だけ好きなデザインに変更するができる。それによって各鎮守府毎に違いが出ているのだ。猫好きな提督の所は猫がプリントされた部隊章等がいい例である。
 「この部隊は事情が事情だ。ある程度戦力を整えないとデザインを変える余裕もないさ。さて、この後だが、今日はもう出撃とかは無しだ。だが、大井にはある任務を行ってもらう必要がある」
 「ある任務ですって・・・・・・?」
 「そう、それは――」
 
 大井は一人、部屋の掃除をしていた。すっかり日は落ちてしまったため、部屋の明かりは蝋燭であった。不幸にも、大井が寝泊りする部屋の電球がなかったのであった。
 「何よ何よ何よ何よ何よ何なのよ!ここは!どこかの牢獄?刑務所?こんな所に来るなら解体された方が何百倍もマシよ!今日はもう終わり!暗くてやってられないわ!」
掃除道具を放り投げ、床に大の字で転がる。前の鎮守府で北上が帰ってこない日から、今までずっと落ち着かない日々が続いていた。
 「北上さん・・・・・・」
 大井は、もう帰ってこない同僚の名前を呟いた。この大井にとって北上は命だった。北上がいない日なんて一度も考えていなかった。毎日毎日2人で窮地を乗り越え、他愛の無い話を弾ませきた。それがずっと続くと思っていた。ふと、窓の外の景色が目に入った。立て付けが悪い窓を何とか開け外を見渡す、いつもより星が綺麗に見えた。
 「北上さん、なんで私は1人なの?」
 その答えを言ってくれる人はいない。頬杖をついて大きなため息をつく。ふと顔を上げると、なんとなく北上に似ている形をしている星の配置が目についた。
 「北・・・上・・・・・・さん?」
 どこからともなく北上の声が聴こえた気がした。しかし、この確証もまったくない幻聴ですら大井に火をつけるのは簡単な事であった。
 「き、北上さん!?声が聴こえたわ!そ、そこにいるのね!?」
 夜空に向って大井が叫ぶ。傍から見れば危ない人だ。
 「うん、うん。聞こえるわ。よかったもっと声を聴かせて!」
 どうやら、この大井にしか見えない聞こえない北上がいるようだ。大井の脳はアドレナリンを大量に発生させた。大井の独り言もとい自分の世界に陶酔している状態では周りが完全に見えなくなる。喜びを爆発させ、身を捩る。どうやら、励ましの言葉をかけられた様だ。
 「北上さん。私、頑張れるわ」
 喜びという感情でいっぱいになった大井であったが、すぐに空っぽになった。さっきまで夜空に輝いていた北上に似た星の配置が見えなくなっていたのだ。
 「ああ、そんな北上さんどこに行ったの!待って!私を置いていかないで、1人にしないで!キャアアアアアア!」
 
 グシャ。
 
 大井は2階から落ちた。

続く
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東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】第2章・その4

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】
第2章 印旛の突撃隊長・その4


 最初の兵士のからの通信が入り警戒態勢におかれた部隊と度々遭遇するが、どれも装備が貧弱で話にならなかった。これらの軍隊の主な任務はクリーチャー退治のはずだが、この状態の戦力で強力なクリーチャーが出現した場合は、太刀打ちできるかどうか非常に怪しい。大治郎達の仕事として、強力なクリーチャーが出現した時の退治依頼が舞い込む事がある。この調子では、この国に別の仕事でまた来ることになりそうだ。
 「!!」
ドスン!!
 突如、上から攻撃を察知して左右に別れる2人。落下地点には菜の花柄の着物と藍色の袴を着た女性が槍を地面に突き刺している。その他の特徴と言えば、白い鉢巻と豹柄の耳と尻尾がある。その風貌から猫系の亜人と見て取れる。
 「まったくこうも暴れられてしまうと、後が大変だわ」
豹の亜人が地面に刺さった槍を引っこ抜きながら愚痴っぽく呟き、槍をこちらに向け、鋭い眼光で大治郎達を見る。
 「それであなた達がここまで暴れる理由は何かしら?ただ単に喧嘩を売りにきた訳ではなさそうね」
 「頭に王冠をつけた女性がここを通ったはずだ。その事を聞いた瞬間から、兵士の様子が変わって襲い掛かられた訳で、“仕方なく”応戦してしまった訳なんだが」
 「“仕方なく”?物は言い様ね。結構、嬉々とした表情で攻めてたみたいじゃない。特にそっちの緑髪はね」
 「随分な言い方ね。アンタの所の誰かがクラル姫を連れ去ったから私達が出張ってきたのよ」
 「連れ去った、ですって?」
 “連れ去った”という単語を聞いて豹の亜人は、一瞬顔を曇らせた。
 「そう。だけど、こっちはこっちで任務中。いくら自総研の2人でもそう簡単に教えるわけにはいかないわね。お引取り願うわ」
 そういうと、槍を構えなおす。一戦交える気だ。
 「本当に私達とやる気?少し腕が立つみたいだけど、やめておいた方がいいわよ。私は今、激烈にイライラしてるの。思いっきり八つ当たりしてしまいそうだわ。……と、言っても下がる気はないみたいね。でも先に名前ぐらい教えてくれてもいいんじゃない?」
 「私は逆井香織。これでもこの付近に展開する支部隊の隊長よ。これで良いかしら紗江さん?」
 「あら隊長さんだったのね。いいわ、私が相手になってあげる」
 紗江はそう言うと、小刀を構えた。槍と小刀。普通の人からみれば、間合いで槍の方が有利なのは明白であるが、そうはならないのがこの時代の戦闘である。睨み合いが続くと思われたが、唐突に逆井が槍を右手で回し始めた。
 “詠唱!?”
 逆井が槍回しを止め、そのまま右手を前に突き出す。紗江は横っ跳びを行うと同時に、立っていた所の地面からヒビが入り、黄色い光が溢れてくる。
ボンッ!
ボンッ!
ゴワアアァァァ!!
 尖った岩が勢い良く飛び出し、最後に大きな岩槍が地面から飛び出す!
地属性の精霊術・アースブレイクである。
 「中々、変わった詠唱ね」
 紗江はそう言いながら勢い良く懐に飛び込みつつ、刀を横凪に払う。しかし、槍の柄で受け止められ鍔迫り合いの状態になる。
ガキンッ!
 鍔迫り合いの状態からお互いの距離が少し開くと同時に柄を上げ、槍の穂先を返して斬りつけるが、紗江はいとも簡単に攻撃を避ける。
 「ふーん。少しはできるようね。じゃあ、これならどう?」
 紗江はどこからともなく、お札を取り出し投げつける。紙で出来ているはずのお札だが、狙いをすませたかのように真っ直ぐ飛んでいく。逆井は槍を大きく振り回し、風圧でお札を振り払おうとしたが、全ては払えずいくつかは命中する。
 「どうかしら?戦車だろうと何だろうと破壊する私の特製お札の感触は?」
 「あまり気持ち良い物ではないわね」
 「そりゃそうでしょう?攻撃用の呪術をかけてあるのだから。それも私特製のね」
 (背筋が凍るような感触なのに、焼け付くように熱い。精霊術?いや、もっと別の何かかしら?闇属性とも違うようだわ)
 「さて、そろそろ決着をつけるわよ」
 「そうはいかないわ”」
 紗江が再びお札を放つ。それと同時に槍を回しながら逆井が突進を繰り出す。お札を弾き飛ばしながら前進しているため、槍をふり回して払うより効率的だ。横っ飛びにかわした紗江に向って槍を払う。その軌跡から衝撃波が発生し、紗江を襲う。だが、紗江は小刀でそれを払う。
 「なかなか素早い連続攻撃ね。だけど、そのくらいの速さなら私の方が上よ!」
 風のように瞬く間に、逆井の左手側に一気に詰め寄る。柄を上げて対抗しようしたが、紗江の蹴り上げによって弾かれる。間髪いれずに当身を入れられ転倒する。そしてそのまま首元に小刀を突きつけられる。
 「速い!」
 「あなたの負けよ。知ってる事、話してもらうわよ」
 逆井の話によると、たしかにクラル姫がサウザント・リーフ王国に来る事には間違いはない。ただ、攫ったというのは聞いていた話とは全然違うという。クラル姫にはサウザント・リーフ王国の視察という名目で来てもらうため、自総研の2人に襲撃されるような物騒な事はやっていないはずであると。これ以上は事は知らない、知りたかったら本人に聞くしかないと言い、酒々井街道の方に向っていったとの事。これ以上の手がかりはないため、2人はその話を元に東へと向って行った。
【登場人物紹介・その1】
・逆井 香織(さかさい かおり)
・性別:女性
・誕生日:5月21日
サウザント・リーフ王国軍の国境警備を務める豹柄の耳と尻尾を持つ、猫系のヒト。軍内部で階級は1つの国境警備部隊の隊長を務めているため、中尉以上と思われる。
国境警備というが、日本国内ではほとんどの国がパスポート無しで出入りが自由なため、主な仕事はクリーチャーの退治である。
戦闘では真っ先に切り込む役を担う。隊長なのに。
得意な精霊術の属性は地属性。主な武器は槍を扱う。
印旛地区は広大な穀物地帯のため、農家の人達の安全を確保するのは重要なお仕事。

第3章へ続く

~艦隊これくしょん 佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:その16~【二次創作小説】

この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。

佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第三章・その4

 斉藤の執務室の一角にモニターが設置された。電源の近くには変わった切り替え機が有り、連絡以外にもテレビを見る事ができるという。使い方を教えてもらいテストを行った所、菊地の所の翔鶴がモニターに映し出された。
 『あ、提督!急用があると言って、執務をほっぽり出してどこに行っているんですか!?早く戻って来て下さい!!』
 「酷いな翔鶴。今日は斉藤の所に行くと言っていただろう?」
 『それは知っています!しかし、連絡も無しに午前中から消えるように居なくなったじゃないですか。前からそれはやめてくださいと言っています!』
 「おいおい。菊地、黙って抜け出してきたのか?」
 「そんな訳はない」
 『いいから提督!早く戻ってきてください!書類がこんなに溜まってますよ!!』
 翔鶴が膨れっ面でカメラを菊地の執務机に向ける。そこには漫画にあるような山積みにされている紙の山であった。
 「これは一日や二日の量じゃないだろう……」
 「それは置いておいて。これで俺の鎮守府との連絡が可能になった。物資が欲しい場合はこの端末から陳情してくれ。だけど、俺が居るときじゃないと陳情は受けられないぞ。時間帯は午前中がオススメだ。後は、斉藤の鎮守府で陳情できるものをまとめた書類もつけておいた。これらの物資の内容は、斉藤の所が手柄を立てればいろいろ増やす事ができるぞ。じゃあ、俺は自分の鎮守府に戻るから後はよろしくな」
 そういうとそそくさと菊地は帰っていった。残していった陳情リストを確認すると、12cm単装砲や7.7mm機銃等といった簡単な物しかなかった。後はカレーセット等の食品のリストが記載されている。その他にも工具や靴下等の日用品が記載されている。まるで生協のようだ。
 「て、提督!鎮守府の前に怪しい人物が居ます!!」
 「磯波、それは本当か!?」
 「はい!独り言をぶつぶつ呟きながら身を捩っていました。見るからに気持ち悪いです!」
 そう言われて、1つだけ心当たりがあった。窓を開けて見てみると、潮が誰かに砲塔を突きつけている。突きつけられている人物は案の定、大井であった。そう、大井は斉藤達が通信機材を設置している間、ずっと一人で悶えていたのだ。それをすっかり斉藤も菊地も忘れていたのであった。
 「動かないで下さい!撃ちますよ!」
 「うっさい駆逐艦ね!私だって好きでここに来たわけじゃないのよ!」
 「おーい、潮。そいつは問題はいくつかあるがとりあえずは大丈夫だ」
 「えっ!?本当ですか、提督。ウナギみたいにニョロニョロ悶えていた変態ですよ!警察に引き渡さなくていいんですか!?」
 「あー・・・・・・。色々言いたい事がありそうだけど、今はここに連れて来てくれないか」
潮は納得がいかないという顔であるが、しぶしぶ向けている連装砲をおろした。

続く

~艦隊これくしょん 佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:その15~【二次創作小説】

この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。

佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第三章・その4

 数日後、菊地の鎮守府より機材を載せた車が向うという連絡があったため、斉藤は律儀に外で待っていた。今日の鎮守府の運営は、漁の護衛と近海の警備であり、現在は近海の警備を行っていた。先程まで、深海棲艦との戦闘があったが、武装や訓練の成果が出たのか今日は特に苦も無く終わる事が出来た。しかし、肝心の車は朝に連絡があったきり、夕方になるが一向にやってこない。このままだと日が暮れてしまうだろう。
 カラッカラに乾燥させた干物をかじりながら、味に少しアクセントをつけるべきだと結論を出した所で車がようやくやってきた。
 「斉藤、お前こんな所で何をしているんだ」
 「見ての通りだ。干物を食べながらお前が来るのを待っていたんだ。結構、時間がかかったな」
 「ああ、それには理由があるんだ。むくれてないで出て来い」
 菊地がそう言うと、車から一人の女性が降りてくる。セミロングの茶色の髪をし、腰にポケットがついた半袖のライムグリーンのセーラー服を着ている。見た目の雰囲気で一般市民ではなく艦娘である事がわかる。
 「遅れた理由は、この艦娘が関係しているのか?」
 「まあな。コイツは球磨型軽巡洋艦の4番艦の大井だ」
 大井と呼ばれた艦娘は斉藤達の会話等気にも留めずに周りの様子を見ている。ただ、表情は苦虫を噛み潰したような状態になっている。
 「斉藤、お前に頼みがある。コイツの面倒を見てやってくれ」
 それを聞いて斉藤は目を丸くした。一般的に艦娘は、工廠においてある建造マシーンにより誕生する。ただ、建造マシーンからどの艦娘が建造されるかはランダムであるため、欲しい種類の艦娘を建造するには多くの資材を使い、何度もチャレンジするしかないのである。今回のような、他の鎮守府に所属していた艦娘が別の鎮守府に移る事は普通では起こらない事である。
 「ちょっとまってここは鎮守府なの!?」
 今まで仏頂面で話を聞いていた大井が突如、大声を張り上げた。
 「冗談でしょ。廃屋と思しき建物が鎮守府だというの!?しかも、何かの宗教みたいに、その建物のそこいらじゅうに魚が干してあるし」
 斉藤と菊地が顔を見合わせ、
 「なあ、どうしてこの大井は自分の所に連れてきたんだい?」
 「こいつ、前の鎮守府で揉め事を起こしてな。僚艦の北上が沈んでしまった事に腹を立て、作戦が悪いとかを始めとする暴言を吐いたあげく、その鎮守府の提督を殴り飛ばすという事態に発展したんだ。艦娘がそんな事をしてみろ。即刻、解体だ。普通の軍人だったら軍法会議にかけられて銃殺刑にされるようなものだ。ただ、その話をたまたま自分が聞きつけてな。勿体無いから、この大井を扱えそうな所を見つかるまで預かる事にしたんだ。そうしたら、斉藤の所を思い出したという所さ」
 「自分の所は駆け込み鎮守府じゃないんだぞ」
 「まあそう言うな。15.5cm三連装砲と61cm四連装魚雷もついているから」
 「何よ!私を通信販売のお買い得商品みたいな扱いをして!ああ、北上さん!私はどうすればいいの?」
 「始まったか」
 「始まったって、何が?」
 「この大井は北上の事を考えると自分の世界にトリップしてしまうのだ。他の大井もこうなのかと調べたが、基本的に大井と北上は仲が良いというのはわかったが、ここまでのレベルは異常だ。筋金入りの問題児と思ってもいい」
 見ていると、“北上さん、北上さん”と壊れたレコーダーのようにつぶやきだした。何かぶつくさ独り言を言っていると思ったら突然、身悶えし始める。もはや変態の域だ。
 「しばらくしたら元に戻るから、それまで放っておけばよい。さあ、早くこの機材をセットしてしまおう」
 斉藤と菊地は機材を抱えて鎮守府に入っていった。もちろん、大井は港に放置された。

続く

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】第2章・その3

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】
第2章 印旛の突撃隊長・その3

 さて、戦車や歩兵のライフル相手に刀とかで対抗できるのかが疑問に思うだろう。しかし、この時代において、それは普通の事というのが一般の認識となっている。超高度文明が興るはるか昔の人間は、銃で数発撃たれただけで死んでしまうほどの虚弱な体質であったと記録には残っており、その時代から幾多の時を経て少しずつ体機能が向上していったのである。もちろん、超高度文明時代に別の惑星からやってきた人々との交配が多数行われた背景も忘れてはならない。生物学者等はこれを進化とは別の成長と説き、異種交配による肉体の強化及び多様化であると発表している。まあ、2人は少し特殊なのだが。それに加えて2人の実力は相当なレベルに達しているので、軍の一般兵や戦車くらいなら、一騎当千もしくは無双状態で蹴散らす事が可能になっている。
 「こんな豆鉄砲が役に立つか!」
 「クリーチャー退治とは訳が違うぞ!何で俺達の所にくるんだ!?」
 「怯むな!たとえ自総研の2人相手とはいえ、勝機が無くても時間を稼ぐ事はできるはずだ!砲手!相手は正面だ!精霊弾を撃ちこめ!・・・・・・てぇ!」
 オンボロな戦車から対クリーチャー用の精霊弾が放たれる。しかし、いとも簡単に砲弾を大治郎に真っ二つにされる。
 「嘘だ!」
 戦車に乗っている上官が叫んだと同時に、戦車はギャグマンガのように砲身や外装、キャタピラが切り落とされる。他の隊員は、武器を破壊されたり、腕や足を抑えたりしている。2人は今回のような戦闘においては武器破壊や戦闘不能にする事に専念している。無益な殺生はしない主義である。ただし、紗江が相手の場合は大治郎と違って重傷を負わされる可能性が高い。
 「こちらB-1!自総研の2人は印旛支部の方に向って行った!繰り返す!自総研の2人は印旛支部の方に向って行った!」
 上官はそう告げると通信機を置き、周辺を見回した。負傷して呻き声を上げる隊員、あまりの速さに呆然している隊員が目に入った。
 「被害状況は?」
 「だめです。この戦車はもう使い物になりません。次に精霊銃を破壊された隊員がほとんどです。後は、数名が重軽傷を負っていますが、どれも手当てをすれば問題ありません」
 「上官。あの2人は何者なんですか?」
 「そうか、お前は初めての実戦だったな。あの2人は自総研の菊川兄妹だ。むしろ、今回の相手があの2人で良かった。もし、他国の軍人や強力なクリーチャーだったら死人が出ていたかもしれないな」
 上官は使い物にならなくなった戦車から降り、大きな溜息をつきながら空を見上げた。
 「聞いていた指令と少し違うが、むしろこっちが本当の指令かな?」
 そういうと上官は、部下に後方に下がる指示を出した。

続く

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