東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode 5 ~【小説版】
第2章・白昼の吸血鬼:その7
そう叫ぶと自称吸血鬼は、どこからか大鎌を取り出しで今にも襲い掛かろうとしていた。
「今日はアンタにヴァンパイアとは何かをその身に教えてあげるわ」
そう言うと、間髪入れずにチェリーに向かって大鎌を振り下ろす。晴海とソフィアは左右へ、チェリーは後方に下がって振り下ろしを避ける。3人が避けれたのは良いもののかなりのスピードである。自分で素早いと言っていた事に嘘はないようだ。
「いきなり何をするのよ!危ないわね!そこまで言うなら、あなたが本物の吸血鬼かどうかしっかりと確認してあげるわ!」
すっかり置いてけぼりにされてしまった大治郎は、一連のやりとりからチェリーが危なくなった時に手助けをすればいいかと考えていた。
「今の振り下ろしを避けるとは。どうやら口だけじゃないようね」
「何よ。試したわけ?」
「当然よ。あれくらいを避けてもらわないと話しにならないわ。まだまだ本気は出してないもの」
「変に手加減をすると、足元を掬われるわよ」
「ご忠告ありがとう様。じゃあ、これならどうかしら?」
そういうと大鎌を振りかぶってチェリーに向かって投げつける。それをチェリーは避けたが、大鎌はブーメランのように孤を描き、木を一本切断して戻ってきたのだ。それを避けるのは簡単であったが、自称吸血鬼は投げた位置よりもチェリーに近い位置で大鎌をキャッチして、斬りかかってきたのだ。鎌ブーメランの動きは囮だったのだ。
ブオンッ!!
鋭い切れ味を持つ大鎌がチェリーに襲い掛かる。薙ぎ払った後、自称吸血鬼がチェリーがいた場所を見たが、姿が無い事に気がついた。
「こういった重量級の武器の性質って知ってる?基本的に、薙ぎ払うか叩きつけるのどちらかになるの。そして、いくつかの動きを合わせた所でも、細かく動く事はできないの。つまり、武器の軌道が読みやすいという事よ!」
ドガッ!
薙ぎ払った大鎌にいつのまにか飛び乗っていたチェリーが解説を入れた後、相手の側頭部に向かって飛び蹴りを入れたのであった。
続く
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