東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode 5 ~【小説版】
第2章・白昼の吸血鬼:その8
「すごい!あの子あんな事ができるの!?」
「あれ?言ってなかったか?チェリーは超高性能なコンピューターが遺伝子レベルでくっついているんだ。その機能の一つに解析モードがあるらしく、武器の軌道も一瞬で計算できてしまうほど、四方八方を囲まれた状態で精霊銃を撃たれても、同士討ちさせれる程のレベルだ。攻撃を当てたいなら、もっと素早く動けるものではないとチェリーの運動力にはおいつけないだろう。あの大鎌を片手で扱えるレベルならまた、話は別だけどな」
「じゃあ、あの大鎌による攻撃は・・・・・・」
「もう、チェリーには当たらない。その事にあのヴァンパイアがいつ気がつくかだ」
大治郎が解説する一方、チェリーは振り回される大鎌を避けつつ、相手の手や足に少しずつダメージを与えている。場の空気の流れは完全にチェリーが物にしている。
(私の大鎌が全く当たらない!何故なの?それに一方的に攻撃を受け続けるなんて!屈辱だわ!)
頭に血が昇って、考えがまとまらなくなってしまったのか力任せに大鎌を振り下ろした時、
ガシッ!
(しまった!!)
振り下ろされた大鎌は、チェリーに白刃取りで受け止められてしまったのだ。
「軌道が読みやすいと言わなかったかしら?それなのに力任せに振り下ろすなんて、捕ってくださいと言っているようなものよ!」
ボキッ!!
大鎌の刃の部分が派手な音をと共に折れる。
(武器破壊!もしかして、最初からこれを狙ってた!?)
「鎌が似合うのは死神って相場が決まっているのよ。吸血鬼なら素手で戦うのが1番似合うわよ」
「知った風な口を聞くな!」
そういうと、勢いよく爪を振りかざしてきた。チェリーはそれを避けたが、着物の腕部分が少し避けている。攻撃が大振りになる大鎌よりも機動性がはるかに上の格闘だと、チェリーに攻撃が届く気配をみせる。
続く
PR