この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第一章・その5
夜、調理所兼食堂の掃除が間に合わなかったため、提督の執務室の机で夕食となった。一番近いコンビニも国道に出なければ無いため、夕方に斉藤が買って来たのであった。かなりドタバタであったが1日が終わったのである。
「今日は皆ご苦労だった。たいした物は用意できなかったが、今日は私のご馳走で無礼講だ。乾杯!」
大淀と斉藤は麦酒。その他の3人はジュースだ。麦酒が多いのは大淀が希望したからだ。
「そーひえばてーとく。酷いとおもひませんか、このひうち。わーたし達が一体、何をしたからこんなオンボロな安普請な建物に住まわせたんですかねぇ~」
「お、大淀さん。そんな風にからんでは………」
「何よ潮。あんたもひろひろと言いたい事があるでしょ~?」
大淀は大酒のみであった。他の鎮守府の大淀はどうなのだろうか?
「大淀の意見には賛成だな。何の恨みがあって俺達をオンボロ鎮守府に閉じ込めたんだと思う。研修が終わって配属されたぺーぺーをだ。俺はここが物置だったものを無理やり転用したと考えている」
「そーへふですよね。これじゃ余計な仕事が増えるだけれふよ。アハハハハハ!」
「明石さん、大淀さん大酒のみだったんですか?」
「いや、それも知らないよ。というか私達はつい先日あったばかりじゃないか」
「おーい、明石と磯波!なにをこそこそ話してるのよ。って、明石アンタ飲めるでしょ~?てーとくがせっっっっっかく買ってきてくれたのだから!」
「おい、大淀落ち着け!」
オンボロな佐潟鎮守府の最初の夜は、大淀の笑い声がこだましていった。
翌日、大淀に麦酒をたらふく飲まされた明石は戦闘不能状態であった。それに比べ大淀はケロリとしていた。そのため、明石が回復するまで工廠の整理は停止となった。調理場兼食堂の整理は潮と磯波がやっている。斉藤は大淀から渡された今朝の通信文書を見て難しい顔をしていた。この通信文書には、各鎮守府への資材の供給量や昨日の戦線状況や結果が記載されている。
斉藤の所を始め、艦娘の鎮守府には毎日、燃料、弾薬、鋼材、ボーキサイトが一定量支給される。各鎮守府はそれを使って艦娘の開発、武装の開発、出撃等の艦隊運営を行うのだ。毎日支給される量以外を得るには遠征任務を行う事、または出撃など一定の活動をするとボーナスとして支給量にボーナスがつくシステムとなっている。しかし、弾薬以外の1日の支給量が事前に聞いていた量より明らかに少ないのであった。特にボーキサイトの量はただでさえ少ないのだ。
斉藤のような新たに艦娘の鎮守府になった所は、しばらく部隊の設営が中心となる。出撃も可能だが、基本的に鎮守府近海が中心となる。6隻一艦隊揃えると第一艦隊が揃った事になり、さらに遠くの海域まで出撃が認められる。ただし、特にめぼしい戦果が無い限り、2線級の戦闘区域が中心となる。
(補給の量が、この量から回復しない事を考えると、出撃は控えて開発に専念するか、それとも出撃を行って艦娘の錬度を上げるのを中心のどちらかしか考えられないな。今後に備えて艦娘の錬度は上げておきたいがどうしたものかな)
溜めた資材で建造を行っても欲しい艦娘が手に入らない可能性が高く、外した場合は今までの労力は徒労に終わってしまう。そして、錬度を上げたとしても駆逐艦のみで戦艦や空母に対峙した時、一方的にやられる可能性が高い。駆逐艦の砲撃は戦艦にとっては豆鉄砲同然だ。肉薄できる夜戦まで耐え切れるかも怪しい。だが、部隊運営は待ってくれないため、どっちの方針で行くか決めなければならなかった。
第1章・終わり
第2章へ続く
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