この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第二章・その3
「あーあ、最初は結構楽しかったのにな。あーいうのも初めてだったし」
「提督はそんな事を考えていたんですか。あまり無茶はしないで下さいね。もし、提督の身に何かあったら、指揮が止まってしまいます」
「大淀の気持ちもわかるが、自分は君達の上官でもある。だから、君達が現場で何をしているのかをしっかり把握しておかねばならないのだ。ここで作戦指揮を執っているだけでは、納得がいかないのだ」
斉藤は今回の漁船警護のカメラ映像を見ながら答えた。磯波や潮を映っている所を確認している。この2人には昼過ぎまで休息をとる事を命じている。午後には別の任務を行う事になっている。
「こういっては不謹慎だが、深海棲艦を撃てなかった事は残念だな」
この鎮守府に支給される定期的な資材の量は、弾薬以外、当初連絡されていた量よりも少ないため、できる限り節約したいため、射撃の鍛錬も漁船警護に行えればと考えていた。それの結果で午後の鍛錬のメニューを決めようと。
「大淀、この付近の近海で見かける深海棲艦の編成はどんな編成だ?」
「この付近に出現する敵艦隊は、艦隊からはぐれた駆逐艦や威力偵察との思えない軽巡と駆逐からなる2、3隻の小規模な編成です」
「よし、午後は射撃訓練ではなく近海警備とする。磯波と潮の艤装に補給を行っておくように」
「了解しました」
何はともあれ実戦を経験させる事。艦娘が深海棲艦に対抗できると言えども、2人はまだ一発も撃っていないのだ。艦娘の錬度を上げる事もこの鎮守府における重要事項だ。
「すみません、提督。お客さんが来てますよ」
「よお、提督さん。船酔いはもう大丈夫ばい?これは今日のおすそ分けだばい?」
「これは今日の漁で獲れた物だろう。いいのですか?」
「いいばいいいばい。これは傷物だから市場に出せないべ。このまま腐らすのはもったいないばい。艦娘の皆で食べてくんろ。丸焼きがオススメだぎゃー」
「それはとても助かります。皆でおいしくいただきます」
鮫島さんはいろんな地方の方言が混ざる喋り方のようだ。
「それにしても本当にボロいべな。あれだろ?ここまでボロいとお金もあまり無いんだろう?だったら干物にするといいべ。保存食になるし、焼いて食べるとまた美味いばい。じゃあ、あっしはもう行くばい」
出荷できない魚をもらったはいいが、1つ問題があった。それは今ここにいる人物達は、魚を捌いた経験がないのだ。大淀は事務作業、明石は艤装のチェック等の仕事があるため、斉藤がスマートフォンを見ながら魚を捌く事になった。
続く
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