東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】
第2章 印旛の突撃隊長・その2
広大な田園地帯でうろついている軍人を探す。いっけん時間がかかる事だと思えたが、そうはならなかった。東に少し進んだ所で、呑気に歩いている2人組みを見つけたのだ。普通、誘拐事件の当事者に事の詳細を伺う様なマネをすれば尋問を受けるのは火を見る事は明らかだった。しかし、相手が悪かった。自総研の2人組みに対して、一般の軍人に支給されている精霊銃をむけた所で何の意味もない。一人は無線で後方に連絡している最中に、紗江の左フックを鳩尾に叩きこまれてダウンしている。
「私達が来た事がこんなにも早くバレてしまったわ。どうしましょう?」
「何を言っているんだ、わざとらしい。ばれるのは時間の問題だが、いくらなんでも早すぎだ」
「あら、私は早い方がいいわ。このイライラを早くぶつけられるしね。とにかく私は今回の首謀者を早くギッタギタにしてやりたいの!明日は宴会に使う食材を仕入れにクラルシティまで行く予定だったのよ、折角、シルバーストリートやオータムリーフフィールドでショッピングも出来たのに、これじゃ、宴会やショッピングの計画も台無しよ!」
どうやら紗江は、楽しみにしていたスケジュールを滅茶苦茶にされた事に腹を立てているようだ。実際、紗江の生き方は自由奔放な所が有り、仕事がない日はブラブラどこかへ出かけていたりする。かといって仕事が起きる時は何故か、自総研にいるので特に問題は起こっていない。
「どうやら、増援が来たようね。・・・・・・あーあー、戦車持ち出してきたわね」
「戦車と言えども、何かボロボロだな。財政難でメンテナンス費までないのか。道中は思っていたより楽かもしれないぞ」
「じゃあ、いつも通り始めますか」
大治郎は刀と精霊銃、紗江は小刀とお札を準備しそれぞれ構える。戦車の砲撃音が響く同時に駆け出した。
続く
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