この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。
佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第三章・その2
「提督、お客さんが来ていますよ。何でも旧知の知り合いだとか」
「明石か。旧知の知り合いと言う自分の友人は一人しかいないな。わかった今行く」
鎮守府の玄関の外に、斉藤と同じ海軍の制服をきた男性と銀髪で矢立を背負い、弓を持った女性がいる。男性の方の服は斉藤よりも偉そうに見え、女性の方は胸当てに“シ”という文字が書かれている。
「おお、斉藤。本当に艦娘の提督になるとは思わなかったぞ。久しぶりだな」
「その声はやはり菊地か。大学以来じゃないか。ところでそっちの方は?」
「私、正規空母の翔鶴と申します。斉藤提督の事は、提督から伺っております」
「彼女は俺の鎮守府の秘書艦も勤めてもらっている。中々腕も立つぞ」
「なんだそんな事を自慢しに来たのかぁ?そんな暇なのか、菊地の所は。とにかく、中にでも入ったらどうだ?」
「ああ、それなんだけど、この鎮守府はどうしたんだ?いろいろ気になる所が沢山あるんだが。じっくり聞かせて貰う事にするか」
怪訝な表情をするのは致し方ない。誰だってこの鎮守府の有様をみたらそう思うだろう。火事にあったようなボロボロの建物に加え、到る所に魚が干されているのを見ればだ。
「応接室という物が無くて大変申し訳ない。ここで我慢して欲しい」
斉藤が2人を連れてきたのは、調理場兼食堂である。執務室には椅子がないため、立ち話になってしまうからだ。大淀にお金を渡し、近所のコンビニで飲み物とお菓子を買ってくるように頼んだ。
「俺の好物を覚えてたのか」
「当たり前だ。大学の時は毎日のように飲んでいたじゃないか。それに、メントスコーラを仕掛けられれば忘れるにも忘れられないさ」
「そうだったな。それにしてもこの鎮守府はどうしたんだ?火事にでもあったとしか思えないぞ」
「いや火事にも雷にも空襲にも遭ってないぞ。来た時からこの状態だ」
「何だって!じゃあ中の設備もボロボロだったのか!?」
「その通りさ。工廠の機械は1台が完全に壊れていて、入渠用の風呂は2つが大規模修理が必要なレベルで壊れている。おかげで鎮守府の運営費は常にカツカツだ」
その話を聞いて菊地と翔鶴は顔を見合わせた。顔つきからそんな話は聞いた事がないという表情である。
続く
PR