東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】
第7章 いわれなき大騒動・その2
上層階に突き進んでいくと一際、静かな空間へと足を踏み入れた。周りを見渡すとレッドカーペットが敷かれ、奥には豪勢な椅子が2つ置かれおり、ここが謁見の間である事を示している。目的の地点はここだ。先程からの戦闘の気配も下からはまったく感じなくなった。誰かに止められているそんな感じがしている。
「流石、見事な腕前だ。わが国の兵士達が全く敵わないのも頷ける」
赤いカーテンの奥から男が拍手をしながらゆっくりと現れる。顎鬚があると同時に、ライオンのような耳がある若い男性だ。
「ようこそサウザント・リーフ王国へ、自総研のお2人よ。私はカズサ・リーフ・サウザン。このサウザント・リーフ王国の王をやっている」
「サウザント・リーフ王国の国王。聞いた事はあるわ。確か若き獅子王と呼ばれているのよね」
「左様。国王となってからまだ日が浅いが、何とかやっているよ。して、かなり我が国で暴れているようだが、これは一体どうしたという事か。我らは君達と敵対するような事はしてはいないはずだ」
「俺達はクラル姫を連れ戻しに来たんだ。クラル姫はどこにいる?」
「クラル殿か?クラル殿は貴賓室で現在、資料を閲覧中だ。クラル・イースト王国で何かあったのか?」
「何かあったって・・・。私達はあなた達が連れ去ったと聞いてきたんだけど、もし違うならあなたの所の兵が、私達が来る事を見越して準備はしていないわよ。シラをきるつもりならこの手紙はどう説明するというのかしら」
紗江が手紙をカズサに向けて投げる。その内容を見たカズサは頭に手をあてて困惑した表情を浮かべた。
続く
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