東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】
第7章 いわれなき大騒動・その3
「これは私の字では無いな。と、いう事は私が置いた手紙は差し替えられた訳だな」
「は?差し替えたですって?一体誰がそんな事をしたというの?何の得があって?」
「この文字には見覚えがある。私の姉の文字だ」
姉という言葉に2人は驚いた。サウザント・リーフ王国の王に姉がいるという話は全く耳に入って来なかったからだ。
「君の姉が手紙をすりかえて何の得があるかはわからないが、クラル王国の上層部は混乱し自分達がここまで出張る事となってしまった事には変わりはない」
「もういいわよ、兄さん。何はともあれさっさと倒して、クラル姫を連れて帰りましょう。まさか、自国の兵士達がボコボコにされたのにもかかわらず、自分は何もせずにクラル姫を返したら、臣民に示しが思うからさ」
「そちらから仕掛けてくるとは随分と大胆だな。折角の機会だ。手合わせを願おうか!」
「・・・セレス参謀。よろしいのですか?王様を援護しなくて」
「いいのよ。これ以上、私達が入った所で生傷が増えるだけよ。物陰から黙って見ているだけでいいわよ」
追いかけて来た兵士達に戦闘中止を命じたセレスが兵士達と物陰から、カズサと大治郎の戦闘を見物しようとしていた。
「ここまで来てしまったか。もうすぐこの騒動は終わると思うが、この後が恐いぞ。なんせ、自総研の2人を引っ張り出してしまったんだから」
「その事については私達が心配する必要はないわよ。しっかり責任を取ると言っていたんだから、しっかりやってもらいましょ」
「そういう所は淡白だな、セレスは」
追いついてきた月崎が会話に割り込む。目線の先では、カズサと大治郎が戦闘を開始していた。
続く
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