この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第8章・その14
『衛生からの映像がこちらにも届いた。ヲ級からの攻撃がくるぞ!磯波、潮、防御を固めろ!』
通信機から斉藤の声が響いてくる。重要なダメージ源となる金剛にダメージを与えてはいけない。2人が持っている機銃でどれだけ艦載機を減らせるかが勝負だ。だとしてもすべては撃ち落せないため、多少のダメージは覚悟が必要だ。迫り来る艦載機に向けて機銃を放つが、突破しようとする攻撃機の数を減らせたのは少しであった。
「Hey!なんで私を狙うのデース!Helpデース!!」
相手にとって一番の脅威は戦艦の主砲での攻撃だ。狙われるのは必然だ。爆撃機や攻撃機が金剛に迫る。
「仕方ないわね」
大井が攻撃機と金剛の間に入り、身構える。丁度、金剛へ迫る攻撃が来るラインにいるため、攻撃を庇う形だ。
ズガガガガガッ!ドオォーン!
激しい爆音と同時に黒い煙と爆炎上がる。その煙の中から、酷い姿の大井が現れた。艤装はほとんど吹き飛び、服はボロボロだ。見ただけで戦闘続行は不可能なダメージだ。
「お、大井、大丈夫デスカー?OK?」
「前の所での戦闘経験のおかげでよ。さあ、見せ場は作ったわよ。さっさと、ヲ級のあの口の中に砲弾を叩きこんでやりなさい!」
「OK!まかせるデース!で、大井。なんで私の後ろに隠れるデスカー?」
「アンタを盾にするのと、外したら頭をひっぱたくためよ」
「ううう・・・。鬼コーチに張りつかれました・・・」
「さっさと撃ちなさい!」
大井に急かされた金剛がヲ級に向けて35.6cm連装砲を発射する。艦隊の希望を乗せた砲弾はヲ級が被っている中華鍋にイカの足をくっつけたような部分に命中し、それを吹き飛ばしたのだ。あの中華鍋のような所は艦載機発着を行っている所のため、そこが無くなったという事は、航空攻撃は不可能になったという事だ。もはやヲ級は何もできない。
『金剛がやったぞ!磯波、潮!対空攻撃より砲撃戦に切り替えろ!魚雷や砲撃で追撃しろ!鳥海や金剛は重巡を狙え!大井はそのまま金剛を盾にしているんだ』
「それはあんまりデース!」
攻撃の要を失った深海棲艦側はリ級1隻で戦艦と重巡の攻撃を受け止めるには不十分であり、鳥海と金剛の同時砲撃であえなく沈んでいった。リ級を喪失した後、中破状態のヲ級は何も出来ず、ハ級やロ級達は苦し紛れに魚雷や砲撃で応戦したが、磯波達に少々の損害を与える程度に留まり、反撃を受けて海の底へ沈んでいった。気がついてみれば、敵艦隊全滅という戦果であった。
第9章へ続く
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