この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第9章・その3
鎮守府内に運び込み、入渠施設に安置した後、高速修復材を投げ入れて様子を見始めた。途中で実況検分に来た警察がやってきたが、艦娘ではないとわかった時に改めて連絡すると再三、斉藤が説明する事により、事なきを得た。むしろ、警察も最近は色々と忙しいため、いちいち土左衛門の身元確認に時間を割いていられないのだろう。海で死体が見つかるのは、深海棲艦が出現してから珍しい事ではなくなった。
『数ヶ月以上前に、重巡以上の艦娘で撃沈の報告が入っていないかって?』
執務室では、斉藤が菊地に連絡を行っていた。
「ああ。こっちの大淀の見解では重巡以上のクラスであるとの事だ。だが、毎朝に届く通信文書に、ここ最近、重巡クラス以上の沈没情報は入っていないのだ。それに、服の歯切れもついていない完全な素っ裸だ。ここ最近、やられたとは思えない」
『服が完全にないとすれば、数ヶ月と言う話ではないな。それ以上だ。小笠原撤退戦の折に、多数の艦娘がやられた中には、重巡クラス以上の物も含まれているのはたしかだ。もし、その小笠原撤退戦の時にやられた艦娘なら、今まで深海棲艦に見つからず海を漂っていた事こそ奇跡だろう』
小笠原から南に流されれば、そこから黒潮繋がる海流にのる事できる。あの艦娘と思しき女性はそれでずっと流れてきたのだろうか。彼女が目を覚ましたら色々と話を聞きたいが、流される前の事を覚えているかはわからなった。
「大井さん。交代の時間ですよ」
「やっと交代?待ちくたびれたわ。まったく、誰が四六時中見張れって言ったのよ。出撃ならともかく、夜は寝てたいのに」
朝の6時。日差しが差し込み始めた入渠施設の一角で大井と潮がいた。深夜2時から6時までの間、大井が見ていたのだ。
「どうですか、この人の様子は?」
「どうもこうもないわよ。交代してからあなたが来るまでピクリとも動かなかったわ」
「やっぱり、だめなんですかね」
「さあ、どうかしら?私達艦娘は、普通の人間とは少し違うから何日も海を漂っていて平気何じゃないかしら?・・・・・・さっさと起きなさいよ、この寝坊助。私が北上さんと会う貴重な時間を使ってあげたのよ。ええ?」
愚痴をこぼしながら、娘の頭をポカポカと叩く。
「お、大井さん!いきなり何するんですか!?」
潮が慌てて大井の手を掴む。ショック療法かもしれないが、このまま大井のストレスが溜まると電気ショックもやりかねない勢いだ。
「放しなさい潮。この寝坊助をいい加減起こしてやらないと。私達の生活に影響が出るわよ。・・・いい加減にしなさい。起きないと解体処分するように具申するわよ」
また、愚痴をこぼしながらポカポカと叩く
「うう・・・」
呻き声を上げ、目を開けた娘を見て、二人の動きは止まるのであった。
続く。
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