東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode 5 ~【小説版】
第4章・魔女の弟子・その2
尾張の街に着いた一行は、何故か街の観光をする事となっていた。大治郎は晴海が仕掛けた夏の騒動のように、一般市民が我を忘れて襲い掛かってくるのではないかと危惧していたが、そのような様子は全くなかった。だが、この街をただブラブラ観光するわけではなく、昨日のユイのように戦闘となる人物が現れるのはたしかなはず。時折、視線のような物を感じるため、警戒する事にこした事はない。そんな心配事をよそに、チェリー、ソフィア、晴海の3人娘は八丁味噌を使った軽食やら、ういろうやらを食べ歩いていた。そんな中、6メートルを超えると思われるマネキンの近くまで通った時、大治郎が違和感に気が付いた。
「不知火。さっきから1人、自分達をつけているヤツがいる」
「え?本当ですか?」
「ああ、さっきから感じている視線の正体はそいつだ。今、あのでかいマネキンの陰に隠れて。こちらを見ている。オレンジ系の色の髪をした女性だ」
「・・・・・・困りましたね。限られた戦闘以外は起こしたくないのですが」
「自分達はここでは招かれざる客みたいな物だろう?それが気に入らないヤツがいてもおかしくないだろう」
そう言った後、後ろを振り向いた大治郎の視界に移ったのは、そのマネキンに向かって駆け出していくソフィアと晴海の姿だった。
「見つけたわ!」
「逃がさないわよ!」
猪のように大治郎達をつけまわしていたオレンジ系の髪の女性にとびかかったのだ。向こう側からやってくるのではなく、こちらから騒動を起こす形となってしまったのだ。さらに、晴海はミチザネを振り回そうとしている!
「お、おい!待て、やめろ!!」
ソフィアが足払いを仕掛け、不意の一撃で地面に転倒させた所で発せられた言葉で2人の動きは止まったのだった。
続く
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