この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第7章・その1
先日、ル級以外を倒した佐潟鎮守府の戦闘結果を九州指令本部に送った所、新しい海域に出撃する許可がなんと出てしまったのであった。それを聞きつけたのか、菊地提督から斉藤に連絡が入り、“今の戦力で許可が下りた海域に出撃すると、敵の航空戦力に痛い目に遭う”と言われてしまった。聞けば、軽巡や駆逐で構成されている水雷戦隊にとって鬼門にあたり、砲撃戦に移る前に航空戦力によって被害を受け、戦力が落ちた状態で戦う事を余儀なくされるとの事だ。それに対抗するには対空機銃を搭載するか、こちらも航空戦力を整える必要があるという。機銃を搭載する場合は、搭載した艦娘の攻撃が落ちてしまうため、それを補う戦力が必要となる。
しかし、困った事に出撃や修理、そして補給に資材を使いきってしまったために機銃の開発も新しい艦娘を呼び出す事もできないのであった。それを示すかのように艦娘を呼び出す機械には埃避けの布がいつの間にかかけられていた。ここしばらくは、漁船の警護をメインに運営している。
「機銃の生産か。いざ、揃えようとすると全く出なくて他の物ができたりするんだよな」
物欲センサー。欲しい物があるときランダムで出てくるような決まりがあると全く出てこなくなる現象である。都市伝説の類かもしれないが、このような事を経験した事がある人は多いのではないだろうか。斉藤もゲームではあるが、似たような事は経験した事がある。
「戦力を増強するにしても戦艦や空母が沈んだという報告は入っていませんね」
大淀が印刷された日報を渡してくれた。今の所、日本付近の戦闘では大きな戦闘が起きている状態には至っていない。斉藤達が行っている戦闘はあくまでもその海域の制海権を取られないための見回りという意味合いがある。
「今後のこの鎮守府の活動には、まず戦艦が必要だ。空母でもいいが、砲撃火力を向上させたい」
重巡よりも長距離の射程を有し、相手の並みの重巡や軽巡を一撃で沈められる砲撃力を早めに整えておくのは必要である。
「やっぱり工廠の機械は使わないんですか?」
「そうだな、使いたくないな。駆逐艦や軽巡洋艦を増やすの1つの手かもしれないが、補給や入渠に使う資材が増えてしまうだろう?増やすなら、確実に戦艦や空母がいい」
「となると、やっぱり鳥海さんのように一本釣りですか?」
「そうだな。そうしたいな。いつまでも待つわけには行かないから、決断しないとな」
磯波との会話をやりつつ、窓の外に視線を向ける。外には、この間の嵐を起こしたようなドス黒いが出ていた。
「嫌な雲だ。こっちに来るんじゃないか?」
斉藤の不安はこの後、的中するのであった。
続く
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