東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第1章・SUMOUパワー
大治郎、紗江、ソフィアの3人はイベント概要別紙に記載されていた指定場所である、クラル城の周りにある堀のとある箇所にやってきた。ここで今回、3人を賞金首にしたイベントの概要が説明されるのだ。しかし、それらしき場所や人は居らず、3人の視界に見えるのは歩道に堂々と机とパラソルを置いたカウガールがつけていそうな帽子を被った人と、その人の周りに数人立っているだけであった。だが、カウガールがつけていそうな帽子を被った人については3人は見覚えがあった。
「クラル姫。こんな所でお茶とは珍しいな」
「着たわね。思ったより、早かったわね」
「おかげで朝が早かったわ。新高崎からイースト・ペイジング城まで結構かかるしね。移動中は眠くて仕方なかったわ」
「電車の中で口を開けて爆睡だったわよ。ほら」
カウガール風な帽子を被ったクラル姫に、ソフィアが携帯端末の画面を見せる。その画面を見たクラル姫はプッと噴き出してしまった。
「自分の所にも送ってくれ。後で局長に見せる」
「もう!何を撮っているのよ!今すぐ消しなさい!!」
他愛のないやりとりを行いつつ、朝の9時とは言え、夏の直射日光が当たると十分汗ばむ外で、クラル姫から今回のイベントについての説明が始まった。
「まず、この地図を見て頂戴。6ヶ所の×印と丸印があるわね。この×と丸はそれぞれの色毎に対応しているのよ。×は目標地点で、丸はスタート地点と聞いているわ」
「一大イベントというからイースト・ペイジング王国の全域で何かやるのかと思ったわ」
「流石に私もそれは許可できないわ。市井の人達の生活や日常、そして物流もあるのだから。出来る限り範囲は限定してもらったわ」
「して、その丸印についたら×印に向かって進んでいけばいいんだな?」
「その通り、スタートの丸印から×印の所にいるボス役と戦うのよ。順番も決まっているわ。ただし、ボス役に対しては相手からの希望がない限り、1対1で戦う事」
「ボス役の所までに辿り着くまでの間は?」
「まず第一に誰も殺してはならないわ。まあ、それはあなた達なら問題無いでしょう。とにかく、色んな人があなた達に向かって襲い掛かってくるわ。精霊銃や包丁、消火器。ああ、サウザント・リーフの軍人や武器も混じっていたわね」
「軍人?それだとしたら、ソフィアはやられても勝ってもどちらでも賞金がもらえるという事?」
一同はにこやかな笑みを浮かべているソフィアに視線を向ける。どうやったかは知らないがソフィアは1番得をする位置にいると言う事だ。
「後、途中でやられてしまった場合は、残った人達で進行する事。ボス役との戦闘後に体力の回復は認める。あなた達の全滅か。最後のボス役をあなた達が倒したら、このイベントは終了。説明はこれくらいね。それじゃ頑張ってね」
クラル姫からの説明を受けた後、3人は最初のステージへと向って行った。
続く
PR