東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅳ ~【小説版】
第2章・試される大地から:その1
浅草。次のゴール地点であるアップフィールド地区を目指して行く場合、ボーンカントリーズから北を経由して通る事になる。正確には、この地区に東端にある川を越える橋からスタートとなっていた。相変わらず、軍人、傭兵、一般市民が我先にと襲い掛かってくる。この有象無象の集団の中で目立ったグループがいた。それはおばちゃん集団である。大治郎の攻撃力ならともかく、紗江やソフィアが攻撃しても一撃では倒れない上に怯まない上に、包丁や布団叩き、さらにはバズーカを持ち出して攻めてくる根性の持ち主達であった。その光景を見たソフィアは、
「私の国の兵士達の根性は、巷のおばちゃん未満か」
と、嘆く始末であった。
それだけならよかったのだが、浅草からアップフィールドまでは地下鉄の線路がコースとなっていたのだ。公共交通機関まで協力させる体制はさすがだが、列車が三人に向かって突っ込んでくるのはいかがなものだろうか。他の参加者も列車が突っ込んでくる事は聞かされていたようだが、完全に巻き込むタイミングで突っ込んできたため、他の参加者と供に列車から一時は逃げるはめとなった。なお、大治郎が列車を一刀両断した事により、事無きを得たが、その様子を見た他の参加者は戦意を喪失していた。その後はアップフィールド駅で地上に戻り、忍池のほとりにやって来た。ここがステージ2の目的地である。そのほとりに薙刀を背負った女性がいる。ボス役がわかりやすいように周辺は人払いされているためである。
「あなたが次のボス役ね。薙刀とは中々コアな物をチョイスしているわね」
紗江から声をかけられた人物がこちらに振り向く。服装はオータムリーフフィールドの近くにある高等学校の夏の制服を着ており、さらに右目に眼帯をしている。
「薙刀使いね。逆井と同じタイプかしら?」
ソフィアの口から出た“逆井”は槍使いだ。同じ長物系の武器のため、戦い方も同じと思ったのだろう。
「そんなに薙刀が珍しいかしら?結構、いい武器だと思うけどね。私は鹿部 真由美、よろしくね」
「薙刀使いよ。ここはリーチ的に兄さんが相手になるべきだわ」
「私もそう思う。リーチ的に」
「随分と酷い決め方だな」
持っている武器の長さで戦うのは大治郎となった。もし、銃をメインにする相手がきた場合はどうするつもりなのだろうか。
「本命が私の相手か・・・。どこまで通用するかしら?」
「1つ聞きたいが、今回のボス役に選ばれている順番は強さ順なのか?」
「うーん、どうかしら?たしかに私も選考試合みたいな事はしたけど、そこまで考慮されているとは思えないわね。サイコロとかで決めたんじゃないかしら?」
「当の本人にしかわからないか。まあ、その本人に会うために、悪いが倒れてもらうよ」
「じゃあ、こちらから行かせてもらうわ!」
鹿部が勢いよく突っ込んで来た!
続く
PR