東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】
第8章 VS お姉ちゃん・その4
逆井と新米の案内でサウザント・リーフ王国の玉座の間に再び通される事になった。
「所で、今回はセレスや月崎は参加しているのか?」
「いいえ。セレス参謀達は、国の方針を考える会議に出席のため今回の作戦への参加は止められています」
「幹部クラスを除いた精鋭部隊を編成して私達にぶつけたわけね」
逆井の話によると、この間の騒動で戦闘を行わなかった各地の精鋭が集められたのであった。その中で逆井と新米は、前回の戦闘経験を買われて呼び出されたとの事。まあ、結果はでなかったが。
「結局、満足なダメージはロクに与えれなかったわけね」
「申し訳ございませんソフィア様」
玉座の間に着くと、王座に座っている人物が2人を観て言った。耳はカズサと同じ色だが、尻尾が違い、ブチ模様がある逆井のような長さと太さがある。服装はプロテクターとマントで防御力を高めたカズサと対照的に、インナーと右肩が露出している服のとても動きやすい格好であった。
「まったく困ったものね。ここまで、軍の錬度が低下しているとは思っていなかったわ。下がっていいわよ」
逆井と新米がそそくさと玉座の間から立ち去っていく。2人の姿が見えなくなってからソフィアが大治郎達に向き直る。
「自己紹介がまだだったわね。私はソフィア・リーフ・サウザン。ようこそサウザント・リーフ王国へ。我が軍のレベルはどうだったかな?あなた達には低すぎたかしらね」
「この間の騒動や今回の件の目的は、俺達と軍を戦わせる事かな?」
「その通り。この国の軍の錬度はあなた達も実感したと思うけど、とにかく低い。この状態のままでは大型クリーチャーが出没した場合、とても国民は守れない」
「それで私達をぶつけたワケ?どこかでも攻め入るつもりかしら?」
「まさか。そんな時代じゃないし。何の得もない。錬度を確かめるために大型クリーチャーを何処からか捕まえてきて、目的の部隊の近くで放して確かめる方法だと、死亡者が出る可能性があるわ。死亡者も出さず、軍の錬度も確かめられる方法を考えたら自総研のあなた達が思い浮かんだわけ」
「だけど、私達が来る保障は絶対じゃないわよ。最悪、イースト・ペイジング王国と全面戦争になっていてもおかしくはなかったわよ」
「それなら問題は無かったわ。あなた達が来るように然るべき人物に根回しをお願いしたわ」
「そうかクラル姫が一枚噛んでいたのか。それで自総研に来たのか」
「そういう事。物事は全てうまくいった。貴族連合の影響で弱体化していた軍の錬度がはっきりわかったわ」
「目的を達成したのは結構だけど、私達を動かす事はけっこうかかるという事を忘れてないかしら?」
「じゃあ、あなた達から一本取ったら、大幅にディスカウントしてもらうのはどうかしら?」
そういうとソフィアは立ち上がり、構えを取った。
続く
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