東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】
第6章 突撃した所はハズレでした。・その2
「撃て撃て!絶対に城内に入れるな!」
ガガガガガガガガッ!ドゴーン!!ドゴーン!!
市街地ではないため、サウザントリーフ王国の兵士達は遠慮なく砲撃を行ってくる。もともと、城は戦うためにあるものだ。
「近接攻撃部隊、前へ!」
チェストー!!
剣を持った集団が2人めがけてやってくる。
「うわぁ・・・。暑苦しいわね、アレ。ああいうのは苦手だから、兄さんお願いね」
「だったら、そっちは銃撃している奴らをなんとかしろ!隙を見て城内に入るぞ!」
同士討ちを防ぐため、剣を持った集団が集まる時に砲撃が止まる。紗江は集団と交錯した時、集団の一人を踏み台にして、塀の方へと昇っていった。
「一人そっちに行ったぞー!撃てー!」
紗江の方に激しい砲撃が放たれる。精霊銃や戦車砲、ありとあらゆる砲撃が紗江を狙ってくる。
キンッ!ドガッ!ガキッ!ドゴッ!
大治郎がサウザントリーフ王国の近接戦闘部隊をバッタ、バッタと叩き伏せている。もちろん峰打ちであるが、かつて大昔にあったという“時代劇”のような動きだ。刀や拳を交えた攻撃でどんどん倒していく。さながら大乱闘だ。時を同じくして塀の上から兵士の悲鳴が聞こえてくる。赤紫色の光の柱が塀の端へと向かっている。紗江が呪爪連波陣を放ったのだ。限られた移動スペースしかない塀の上では逃げ場は少ないため、兵士が、土嚢が、砲台が吹っ飛ばされて、ドボン、ドボンと堀に落ちていった。塀の上を突き進む紗江はそのまま城内への入り口へと向かう。
「一人、入り口に向かっているぞ!地上射撃部隊、目標変更!撃てー!」
「おっと、そうはさせるか!」
戦車や精霊銃持った兵士が銃口を紗江のいる方角へ向けるが、大治郎が近くにいる兵士を乱暴に掴んでは投げ、戦車の砲身にぶつけたり、射撃部隊に投げ込む。射撃部隊が混乱している間に、肉薄した大治郎に戦車は叩っ斬られ、兵士が幾人かふっ飛ばされてしまった。そのドサクサに紛れて、大治郎達は窓を叩き割りながら城内に進入した。
「本部!こちら城門部隊!2人は強行突破し城内に侵入!こちらも追って城内に突入する!」
城外にいた兵士達は慌しく、城内に入っていくがその表情は、2人に勝てるのかという疑問が浮かんでいた。
「で、兄さんどこから調べる?」
「まずは地下からだ」
続く
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