この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第8章・その2
「ところで金剛の事だが・・・」
「金剛さんですか?どうかしたんですか?」
「海底から引き揚げた時の後遺症だが、錬度のリセットと記憶の欠落以外、何か認められる物はあったか?」
「いいえ。そう言った感じの物は見受けられませんでした」
「そうか、気になる点があってな。大淀、艦娘は皆、泳げるのか?」
「はい。皆さん泳げますよ。泳げない艦娘は私が聞いた所や資料にも書いてありません。あくまでも私達は海軍に属しますから泳げるのはデフォルトなのでしょう」
「そうか・・・。泳げるか・・・」
そう言うと斉藤は執務室を後にした。しばらくして、金剛が黄色い声で斉藤を呼ぶ声と大きな水しぶきの音が聞こえてきた。鳥海の慌てふためく声が響いてくる。声の調子から、斉藤が金剛を海に投げ込んだようだ。
「大淀。ウチの金剛は泳げない事がわかったぞ。正式には泳げなくなったというのが正しいな」
わざわざそれを確かめるために金剛を海に投げ込んだのだ。一方、金剛は投げ込まれた事よりも泳げなくなってしまった事にショックを受けて落ち込んでしまったのだ。
「夏のビーチは、浮き輪ガールデス・・・」
等と夕食時に呟く始末だ。翌日の漁船警護の仕事においては、漁船に備え付けている浮き輪をつけようとしたらしい。開いてはいけないパンドラの箱を開けてしまったのかもしれない。
「はう~。やっぱりガッカリデス!」
海上を進軍中に金剛が呟いた。金剛が港で溺れた日から数日経つが、まだ気にしていたようである。
「大破した状態で相手の攻撃を受けて艤装が壊れてしまったら、浮き輪をつけてても沈んでしまいますよ」
轟沈経験者は語る。破壊されて機能を停止した艤装はコンクリートのような重さになるという。
「折角、夏になったら水着でテートクをノーサツしようと思ったのに!ブー」
「べ、別に浮き輪をつけててもいいんじゃないかしら?(北上さんと浮き輪。ぷかぷか浮かぶ北上さん!これもいいわ)」
そんな事を考えながら5人は進軍を続けていた。幸先が不安である。
続く
PR