この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第8章・その4
進撃中、偵察機から通信が入った。どうやら、進軍している敵艦隊を発見したようだが、次の瞬間、鳥海は顔を歪めた。
「どうしたんですか?」
「偵察機から敵艦隊の情報の連絡があったのですが、突然変な音がして途切れてしまったのよ」
偵察機未帰還。すなわち、偵察機が敵に撃ち落された可能性が非常に高い。艦載機が飛び去った方向を一同全員で視線を送る。
『どうした?戦闘区域のど真ん中で止まっていると的になるだけだぞ』
「提督、実は・・・」
磯波は偵察機が戻ってこない事を簡単に説明した。
『成程。それなら尚更、そこに留まっているのは危険だ。空母を含む編成なら敵の艦載機がすぐに飛んでくるかもしれないぞ。今すぐ、決めるんだ。引き揚げるか、それとも進撃を続けるか。磯波、君が決めるんだ』
斉藤からの通信を聞いた磯波は、一息ついてから、
「わかりました。このまま進みます」
『わかった。偵察機の補充の用意を明石に伝えておく。無理だとわかったらすぐに逃げろ。以上だ』
「了解しました。皆さん行きましょう!」
偵察機が消息を絶った方向へしばらく進撃を行うと上空に黒い小さな影が見えたと潮が言った。広大な大海原から見える空に小さな影といえば、渡り鳥であれば風流であるが、今のご時勢それは期待できない。友軍の偵察機の可能性があるが、周囲に友軍がいる情報はない。残った答えは、深海棲艦の偵察機という事になる。もし、相手の艦隊に空母がいれば、攻撃機や爆撃機を飛ばしてきてこちらを攻撃してくるだろう。誰しもが航空攻撃を予想していたが、それは現実となった。進撃方向の空より、黒ゴマのような小さな影がいくつか見えてきたのだ。それは一直線に磯波達に向かってきたのだった。そう、深海棲艦が航空戦を仕掛けてきたのだ。
続く
PR