この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第8章・その1
ある日の午後。鎮守府の片隅で艦娘達が七輪を囲んで干物を嗜んでいる。その中には紅茶好きの金剛の姿もある。
「聞きましたか?今度、出撃許可がでた海域に行くようです」
「その話は本当ですか?事前の情報では敵に航空戦力がいると聞きましたけど」
「この鎮守府に空母の艦娘はいないわね。このまま対峙したら、航空戦でボロボロにされるわよ」
「この鎮守府に対空機銃の類はありましたか?」
対空機銃。7.7mm機銃系列の装備であるが、佐潟鎮守府にそんな物はなかった。さらに、磯波と潮には艦載機には嫌な思い出があった。菊地提督の所の翔鶴と模擬演習をする事があったのだが、何もできずにペイント弾まみれにされてしまったからだ。
「空母がいない場合、対空兵装がないと厳しいデス」
「また威力偵察でしょうか」
5人の艦娘は一抹の不安を感じていた。干物のしょっぱさが身に染みる。
「お、金剛も干物を食べるようになっていたか。それならこの鎮守府でも上手くやっていけるだろう」
先日、食堂兼調理場からけたたましい悲鳴が聞こえて様子を見に行った所、金剛が口に山ほど干物を詰め込まれてぶっ倒れていたのだ。誰の所為かは分からなかったが干物嫌いにならなくて良かったと斉藤は思った。この鎮守府で干物が嫌いで食べられないとなると食べ物に困る事だろう。本当に四六時中紅茶を飲んで過ごす事になったことだろう。
そんな風景を見ながら今度進撃する海域の情報を確認した。資料には空母系の深海棲艦画出没するとの情報である。いくら2戦級の戦場と言えども空母は空母だ。従来の砲撃戦とはまた違った戦闘になるのは確実だ。空から攻めてくる艦載機も相手にしなければならない。空母系の艦娘や対空機銃等の装備がない状態では制空権を取られてしまうのは明白であった。明石に頼んで作ってもらうのも一つの手であるが、金剛の偽装の修理や今度の出撃用の資材のため、工廠を動かす事もままならなかった。
続く
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