東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】
第6章 突撃した所はハズレでした。・その4
「“怪しい”という言葉以外、ちょっと思い浮かばないな」
「この国に宮廷司祭なんかいたかしら?そんな話は聞かないわ」
「私は司祭ではないわ!何で皆そういうのかしら?見かけで判断しすぎよ!」
服装が服装だからだろう。その見るからに肌を晒さない服の上に、夏は着ているだけで熱中症になりそうな格好なら間違われるのは仕方ないだろう。
「んんっ!私はセレス。このサウザントリーフ王国の軍参謀をやっているわ。クラル姫を探しに来たんでしょ?残念ね。地下にはいないわよ」
「何だ。という事はやはり城の上層部か。ここはハズレだったか?」
「そういう事、残念ね」
「それで?私達に何か用かしら?クラル姫の場所がわかったから早く行きたいんだけど、扉を閉めて何をしたいのかしら?」
紗江がその台詞を言い終わった瞬間、鋭い手付きで何かを投げつける。
カッ、カッ。
閉まった扉に、タロットカードが2枚刺さっている。
「一応、軍の参謀だから体裁があるんだろう」
「そういう事。もちろん、上に上がっても王様が何もせず、クラル姫を帰してくれるとは思えないけどね。理由はどうあれ、ここまで暴れたんだから」
セレスの身体が若干だがふよふよと浮いている。風属性の精霊術に機動性をあげるそのような術がある。
「2人がかりは相手に失礼ね。私が相手でいいかしら?」
「勝浦の時は自分だったからな。油断はするな」
紗江が小刀と陰陽符を構える。それを見たセレスの表情が険しくなる」
「さあ、行くわよ!」
陰陽術師の紗江と精霊術師のセレスの勝負の火蓋が切って落とされた。
続く。
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