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東都幻想工房

同人サークル・東都幻想工房の近況等を報告するブログです。 また、二次創作小説等も掲載しています。

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東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】第4章・その6

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】
第4章 養老鉄道・その6

 『ならばこれならどうだ!!』
 月崎が大声で叫ぶと同時に落下傘爆弾が発射される所から炎が噴出す。噴出された炎は落下傘爆弾のように上空から降り注ぐが、爆弾よりも軽いためか風に流され、多脚戦車の真下にも入り込んでくる。
 『ワハハハハハハ!どうだ!?この火炎弾なら破壊は出来まい!も1つオマケだ!!スプラッシュレェェゥィーザー!!!』
 複数の青白い光線が上空に放たれ、複数の光線が螺旋軌道を描きながら大治郎達を襲う!そう、多脚戦車の下が安全だというのは早計だった。下部に潜り込まれた場合の対策もしっかり作ってあったのだ!
 『さすが私!私の発明した“なめがわ”に死角はないのだ!うおっ!?』
 操縦席で高笑いをしていた月崎は突然の衝撃に席からずり落ちる。おそるおそる下を見てみると、なめがわの後部脚部を叩き壊している2人の姿が見えた。
 『おい何をする!?やめろぉぉぉ!!』
 「やめろ!、と聞いてやめる奴がいると思うの!?」
 「さっさと脚を壊して、線路上に叩き落としてやる!」
 紗江と大治郎が、まるで木槌で商人の蔵を叩き壊すがごとく、攻撃を加えている。このままでは後部の脚部が壊されるのは時間の問題だ。
 (こうなればセパレートモードだ!)
 大治郎達が後部脚を破壊し、中途半端に壊れた前部脚を壊しに行く時にを狙ってボタンを押す。
パキーン!!
 大きな音と共になめがわの胴体から生えていた脚が一斉に分離し、胴体はそのまま機関車の屋根に落ちる。

続く
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東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】第4章・その5

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】
第4章 養老鉄道・その5

 「それなら脚の砲台をさっさと破壊するしかないわね。見た感じ、連射は出来ない仕組みのようだから狙う瞬間はそこかしら?砲台系の精霊弾は重いから弾くのは得策じゃないわね」
 「狙う箇所は決めたのか?」
 「人でいうと膝の部分ね。関節部分は他の部分と違って装甲は薄いはずよ。それに砲台を破壊していくよりかは早いわ。精霊弾の爆風を利用して一気に行くわよ」
屋根の上に立った紗江に向かって精霊弾が放たれる。放たれた砲弾が着弾する刹那、紗江は飛び上がった。砲弾の爆風が紗江を上空へと押し上げる。降り注ぐ落下傘爆弾は大治郎の射撃で破壊されていく。
 「はああああああああっ!!」
 渾身の一撃が、なめがわの関節部分に叩き込まれる。
ガキンッッ!!
 「!!」
 関節部分に放った一撃は、硬い金属音が鳴り響く。紗江の刀では切断するにはいたらず、弾かれてしまった。
 『ワハハハハハ!!装甲が薄い関節部分を狙ってくる事は想定済みだ!この部分には精霊術でコーティングし、耐久性を上げているのだ』
 精霊術には防御力を上げる物が存在している。対象は人でも機械でも構わない。共通している事は一定時間、もしくは攻撃を受け続けていると剥がれてしまう事だ。剥がれてしまったらまたかけ直す必要がある。
 「そうか、ならこれならどうだ?」
 なめがわの足元に移動していた大治郎が諸手突きで脚に突き刺し、精霊術を発動する。強烈な雷が避雷針代わりにした刀に当たり、脚に強烈な電撃を流れる。脚に設置されていた砲台から煙が上がった。
 「やはり、雷属性への耐性はなかったようだな」
 「耐性無視の攻撃なら、こちらだって出来るわよ」
 紫炎を纏った紗江の刀がもう1つの脚を真横一文字に切り裂く。砲台の動きがピタリと止まりとまり、煙を吐いた。
 「種がわかってしまえば、対策はできるの!それにここなら爆弾は落とせないでしょ!」
 そう、この多脚戦車の真下はまったくの安全地帯であったのだ。脚を動かそうとしても機関車にしがみついているから身動きがとれないのだ。

続く

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】第4章・その4

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】
第4章 養老鉄道・その4

 貨物列車上に展開している兵士達を蹴散らして、大治郎達は先頭の機関車までやってきた。別にこの貨物列車をジャックしようと思っているわけではない。運転手には終点まで運転してもらえばいいのである。それに非戦闘員だ。貨物列車がビックフィールドタウンに入った瞬間、ヘリコプターの音と共に不恰好なロボットが落ちてきた。
 「とんでもない物が落ちてきたな」
 落ちてきたロボットはそのまま貨物列車の側面をガッチリとホールドしている。
 『見つけたわよ!あなた達ね!無頼な無賃乗車をしてるのは!?』
 「無賃乗車とは酷い言い草ね。こちらが乗り込んでくる事を想定してような兵士の配置だったじゃない。それに戦車のオマケ付よ」
 「それに乗車の仕方はそちらの方がかなりダイナミックだぞ。俺達には真似できないな」
 実際、空から降りてきたの関わらず、この不恰好なロボットは機関車をガッチリとホールドしてしがみついている。
 「で?このへんちくりんなロボットで乗り込んできて一体何がしたいのかしら?」
 『へんちくりんなロボットではない!少ない予算を必死に集めやっとの事で完成した多脚歩行戦車“なめがわ”だ』
 不恰好なロボットに取り付けられたスピーカーから、街宣車の如くけたたましい声が響く。多脚歩行戦車と聞いて二人はこの不恰好なロボットの足に視線を送る。よく観ると脚の部分に砲台やらミサイルと思われるの発射装置がふんだんに取り付けられている。胴体の部分には下部にハッチらしき物が見える。おそらくそこにも武器が仕込まれているだろう。
 『逆井や新米とは違う。この私・月崎が開発した“なめがわ”の実戦データを取るには申し分ないわね。タダで降りる事は叶わないわよ!』
 スピーカーから自信に満ち溢れた声がした後、武器のシステムを起動したのか、砲台の砲身がこちらを向き、発射装置の蓋が開くのが見える。機関車の上という狭い足場では大きく動く事はできない。
ピィーーーッ!ピィーーッ!
 突然、機関車が警笛を鳴らす。実はこの機関車、車両の真ん中に運転席があるのだが、その構造から真ん中の部分だけ出っ張っているのだ。二人はその出っ張り部分を塹壕のように身を隠すように潜り込んだのだ。突然、運転席の視界を塞がれたので運転手がそれで驚いたのだ。ただでさえ屋根の上で何かが起こっているのに確認ができないのだから。
 「いーい!?邪魔をしたら、刀をブッ指して、あなたと運転席を固定するわよ!わかった!!?」
 紗江が運転手を睨みつけながら凄みを利かせて叫ぶ。こういう時の紗江は容赦がない。邪魔をしたら本当にやりかねない。ワンテンポ遅れて放たれた精霊弾が頭を上を通過していく。
 『む!運転席の屋根を遮蔽に利用したか!?』
 (ただし、それは想定済みだ)
 月崎はなめがわの運転席にある黄色のボタンを押す。
シュパパパパパパ
 発射装置からミサイルと思しき物が上空へ発射される。しかし、それはミサイルではなくパラシュートをつけた小型落下傘爆弾であった。
 「ちょっとちょっと兄さん。何とかしてよ。このままだと当たるわよ」
 紗江に言われる前に、大治郎は仰向けになって精霊銃を爆弾に向けて撃ちまくっている。大治郎や紗江以外の所の爆弾は破壊していないため、機関車や線路わきに平気に当たって爆発している。
 『ハッハッハッ。どうかな、精霊爆弾は?弾薬には困らないからガシガシ落としてやるぞ~』
 「そんな事して機関車が壊れてもいいのかしら?」
 『この機関車は我がサウザント・リーフ王国所有の物だ。動かなくなったらこのなめがわで線路わきに押し出してしまえばいいだけの事。君達をこの先に行かせないのが目的だからな』
 「まずいな。このままだと、この乗務員がいる屋根を破壊してまで射線を確保しだすぞ。機関車を直接、破壊しだすかもしれない」

続く

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】第4章・その3

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】
第4章 養老鉄道・その3

 貨物列車に乗り込んだ2人であったが、終点までのんびりと座って景色を見ているわけには行かなかった。
 「待ち伏せね」
 「何か癪だな。うまい具合に誘導されているようだ」
 2人が乗り込んだ貨物列車はサウザントリーフ王国所有の車両だったのだ。無蓋車から頭を出すとコンテナ上やら脇やらにいる兵士から精霊銃の弾丸が飛んでくる。
 「列車の上で戦闘を行うのは考古学者の映画であったかしら?」
 「それを言うなら、荒野の一人のレンジャーじゃないか。差し詰め俺達は列車強盗か?」
 「あら、攫われた姫様を助けるのだから、私達はヒーロー側よ」
 「だったら格好よく決めたいな」
 「それなら先に行く。援護するわよ」
 「どうせ少しサボるんだろう。年に1時間でもいいから真面目なってくれ。先陣を切る味方を遠距離攻撃で的確に決めてやるさ」
 「ひどい言い草ね。私はいつも真面目よ。見てなさい」
 そういうと紗江は無蓋車から飛び出す。それを見た相手は精霊銃の引き金を引いて応戦するも、紗江の小刀で弾丸を弾かれ、一気に肉薄される。そして、両腕を斬りつけ銃を使えなくする。そこまでは良かったが、最後に蹴りを入れたのが余計だった。蹴飛ばされてバランスを崩した兵士はそのまま貨物列車から転落した。転落していった様子は大治郎も見ており、その状況を危惧したが、この国の医療技術は高いと聞く。それにこの貨物列車に乗り込んでいる事は知られているので後続の列車か何かで回収されるだろう。運悪く、対向列車に撥ねられない限り死ぬことは無いだろう。
 紗江が貨物のコンテナからコンテナ飛び移っていたが、当然、紗江は頭を引っ込めた。
 「何で戦車が積み込まれてるのよ!しかもこっち狙ってるし!」
 ご丁寧にこの貨物列車には戦車が積み込まれていたのだ。いかにも待ち伏せと言わんばかりに砲身をこちらが確実に通る位置を狙っている。射線に入った瞬間引き金を引かれるだろう。そして戦車を守るように周りに随伴兵が配置されている。戦車は随伴兵を守り、随伴兵は戦車を守る形である。
 「これは流石に兄さんの出番ね。格好良く決めてよね」
 大治郎が戦車の射線に入った所、案の定、戦車から砲撃が行われたが戦車から放たれた砲弾は列車のはるか後方の2箇所で爆発を起こした。高速で飛んでくる砲弾を一瞬で切り払ったためだ。
ガシュッ!
ガッキンッ!
 怯んでいる随伴兵をよそに戦車に大治郎の白刃が襲い掛かる。乾いた金属音と共に、まるでみかんの皮を剥いたように戦車の装甲が外れ、中の兵士達がむき出しになる。その後、随伴歩兵と共にナイフで襲い掛かったが、大治郎のパンチで軽く倒されてしまった。
 「複線だったら、線路に障害物という事で日鉄から怒られる所だったわね」
 「それだったら、線路が無い方に切り落とすだけさ。そのくらいの事は紗江もできるじゃないか」
 高速で飛ぶ砲弾や斬る事もさながら、中の乗員を傷つけずに壊す事はそうそう出来るものではないと思う。
 貨物列車上での戦闘は移動できる足場が少なく移動が制限される上に、線路脇からの支援攻撃も加わり、過酷と思われたがそんな事は無かった。貨物列車に乗り込まれる事を想定していなかったのか沿線には部隊はまったくといって配備されていない。障害物が何もないコンテナの上での戦闘においては、精霊銃を使用してきたならいつも通り弾きつつ、ナイフを持って突撃してくる兵士に注意を払えばいい。周りからの支援が無い限り、いつも通りの戦闘となる。
パパパパパパパパパパ・・・・・・・・・・。
 乾いたローター音が聞こえたので上を見上げると、小さな飛行ドローンがこちらに向かってきているのが見える。サウザント・リーフ王国軍が所有する“航空支援ドローン・カッラ=ズジョー”だ。気がつけば田園地帯を抜けてオータキの市街に差し掛かっていた。おそらくそこから飛んできたのだろう。カッラ=ズジョーは下部に精霊銃を取り付け、上空から撃つだけという非常にシンプルな攻撃方法を採用している。着弾すると爆発するタイプの精霊弾を発射する亜種もある。単純な航空支援と言えども支援には違いない。遮蔽物が何もない貨物列車の上では邪魔となる事は必須だ。適切な対処が求められる。紗江は忌々しそうな顔をしていた。
 「兄さん、地上はまかしていいかしら?私はあの騒がしいのを落とすわ」
 そう言って紗江は懐からお札を取り出す。紗江の持っているお札は陰陽術の力を宿したお手製の物である。陰陽術の特性である干渉能力を生かした攻撃特性を持たせている。人に触れれば切れたり、殴られたような衝撃を与える。機械に当たれば突き刺さったり、凹ましたりする事も当然できる。案の定、お札が当たったカッラ=ズジョーはその場で爆発する物、煙を吹きながら地面やサウザント・リーフ兵士が集まっている所に落下し爆発。サウザント・リーフ兵にとってはたまったものではなかった。その状態に陥り、慌てふためく兵士達を見ながら紗江はクスクス笑っていた。

続く

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】第4章・その2

東都幻想物語~ Touto Genso Story Episode Ⅲ ~【小説版】
第4章 養老鉄道・その2 

カーテン・ザング。そこはサウザントリーフ王国内にある貨物列車や旅客列車が1番多く集まるターミナルがある。そこに到着した貨物列車は、日本国内各地へと運ばれていく。しかし、今日のこのターミナルは物々しい雰囲気に包まれていた。
 「警備がやたら厳重だ。まあ、酒々井の防衛部隊が通報したんだろう」
 「それで兄さん。どの貨物列車なの?ここからじゃパッと見てもわからないわ」
 「もう少しで鴨川の方に向う貨物列車が出るんだ。その貨物列車を探そう。姫は勝浦の街に向ったというからそれに乗れば追う事ができる。東の方に機関車をつけていてエンジンに火がついている貨物列車を探そう。その列車はサウザント・リーフ王国所有の車両だから、日鉄にはあまり影響は無いだろう」
 「気づかれてその列車が運転を止めてしまったらどうするの?」
 「その時は、列車毎借りればいいだろう。勝浦で乗り捨てだ」
 「レンタカーみたいな扱いね。探してみるけど多少のトラブルには目をつぶってね」
そういうと紗江は列車の屋根の上に飛び乗り、辺りを見回した。そんな事をしたらすぐに見つかってしまう。多少のトラブルというが物は言いようである。
 「あったわ兄さん。隣の113系の奥に一編成だけ東に機関車をつけている貨物があるわ!」
 「それだ。その貨物列車に乗っていくぞ!」
 紗江が貨物列車を見つけたと同時に笛がなる。案の定、ターミナルを警備する兵士に見つかってしまったのだ。笛が鳴ったのと同時に地面に降りた紗江は大治郎と一緒に貨物列車へと駆けていった。
 「どこだ!?」
 「いたぞ!反対側だ!」
 「何だ?何だ?」
 「HQ!例の2人を発見!王都行きの貨物列車を狙っているようだ!」
 『了解!増援を送る、奴らを足止めしろ!』
 無線のやり取りが終わると周辺の兵士が集まってくる。列車の影から兵士が精霊銃を構える。
 「待て!車両に当たる!銃は使うな!」
 別の兵士が叫ぶ。これには深い訳がある。鉄道の車両、すなわち日本鉄道株式会社が所有している車両だが日本鉄道は日本内にある国対して絶大な力を持つ民間企業である。かつてある国の捕り物において日鉄のダイヤを大幅に乱して多大な損害を与えた際、その損害を請求したが支払いを拒否したため、ただちに鉄道員を引き揚げさせ、貨物列車を含めた全ての列車の運行を取りやめてしまったのだ。その結果、物量や人の流れが止まったその国は経済的に大打撃を受け、泣く泣く損害請求金額を支払ったという話がある。特にサウザント・リーフ王国は財政難の状況にあるため、余計な出費を払いたくはないはずだ。しかし、大治郎は的確に精霊銃を兵士に当てている。確実に当てられる自信があるからこそ撃つ事ができるからこそである。列車と列車の幅は戦車などは配置できないため、目的の列車までは妨害も少なく容易に近づき、警笛を鳴らして動き始めた列車に乗り込むことができた。

続く

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