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東都幻想工房

同人サークル・東都幻想工房の近況等を報告するブログです。 また、二次創作小説等も掲載しています。

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~艦隊これくしょん 佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:その24~【二次創作小説】

この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。

佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第四章・その4

 数日後、提督の執務室で明石が何やら報告をしていた。提督が明石に頼んだクレーンの改造が終わったようだ。意気揚々とした表情で新型のアームに説明をしている。明石が手に持っているスイッチでクレーン先端に取り付けられている手のようなアームがにぎにぎ動いてる。
 「提督、このアームは従来の物と付け替えが可能なんですよ!状況によって使い分けができます。艤装を引っ掛けるならフックタイプ、艦娘を掴むならハンドタイプですね」
 「ハンドタイプのテストはできたのか?」
 「それが被験者いなくて・・・・・・」
 その発言を聞いて、秘書艦の机で事務作業をしている磯波を見る。それに気がついたのか慌てて首を振る。磯波の位置だと吊り上げの機能のテストにはイマイチであるため、この案は却下された。次はという事で、斉藤は窓の下を見る。窓の下ではこの間陳情で取り寄せた七輪で干物を焼いている大井がいた。しゃがみながら片手に団扇を持ちながら、じーっと干物を見ている。斉藤は窓の下に指を指しつつ、明石にアイコンタクトを送る。窓の下を見た明石は了解しましたという感じのサムズアップを見せる。ハンドタイプのアームがつけられ、大井の所に下ろされる。程なくして、ギャーギャー大声を出して暴れている大井が引き揚げられた。あまりにも煩いので、すぐに解放する事になった。しかし、ハンドタイプのテストは成功という結果で終わり、明石は満足気であった。
その翌日、明石と斉藤は菊地提督が持ってきた元・屋形船もといオンボロ船の前にいた。
 「て、提督、本当にこれを改造するんですか?」
 「そうだ」
 「この廃棄寸前のボロ船をですか??」
 「そうだ」
 「一体、どのようにですか?」
 「外見は漁船のようにする事、それと速度もある方がいい。装甲は後回しでいい。鋼材はあるだけを使ってもいい。可能であれば、色は夜には目立たない色にして欲しい」
 「私のクレーン改造の件といい、このオンボロ船の改造といい、提督は何を考えているのですか?」
 「完成すればわかるさ。今の鎮守府にはこれが必要だ」
 こうして佐潟鎮守府において、オンボロ船の改造作業が始まった。この鎮守府にとってはこれが最初の大掛かりな改造作業となった。日夜、ひっきりなしに工具の音が響いてくるのをそれを強調している。
 「ボロボロな船を修理しているみたいですけど、一体どんな事に使うのでしょうか?」
 潮が団扇で干物を仰ぎながら呟く。
 「あの提督に聞いたけど、はぐらかされたわよ。潮、このタレをそろそろ塗る頃合じゃないの?」
 「ああ、そうでした。薄く塗りますよ」
 「白ゴマも欲しいですね。今度頼んでみましょうか」
 鎮守府の片隅で大井、潮、磯波が七輪を囲みながら井戸端会議を行っている。最近の3人は仕事が一段落すると、干物を齧っている事が多い。逆に言えば、漁の手伝いでもらえる魚だけは沢山あるため、この鎮守府で気軽に食べる食べ物は必然的に魚となる。逆に言えば、魚以外の食料は鎮守府の修理に伴う慢性的な資金不足で、常に不足している状態であった。そんな状況の中で潮が干物に使うタレを、調味料から作ってしまったのだ。干物が主食状態である食料事情において、干物中毒になるのは必然であった。
 干物話に3人が華を咲かせている間、執務室では斉藤が干物を齧りながら通信文書を見ていた。戦況に関しては、斉藤がここに着任してからの状況から変わっていない。しかし、艦娘の撃沈情報に関しては毎日のように何件か発生している。もっぱら駆逐艦や軽巡洋艦クラスがほとんである。それ以外の艦種については全く見当たらなかった。それだけ激しい戦闘は現状では中々発生していないのだろう。
 「どうやら、威力偵察を行う敵部隊は最近出ていないみたいだな」
 「そうですね。最近は軽巡洋艦で構成された偵察部隊がこの周辺海域で出現しています。戦艦クラスが混じっている敵部隊は奄美大島の南側の海域で散見されています」
 「奄美か。奄美はさすがに遠いな。いくら何でも、アレの改造が終わったとしてもその辺りまではいけないな。辛抱強く待つしかないな」
 インド洋沖、東南アジア、そして沖縄本島。大規模な深海棲艦との戦いが行われたが、沖縄本島での戦いの後、大規模な戦いは確認されていない。それ以降、深海棲艦の補給艦が世界のあちこちで出没しているのが確認されている。この事から世界各国は深海棲艦は現在、補給行動中と認識となった。しかし、この期に攻められた東南アジアや沖縄本島を奪還しようという声が上がったが、世界各国の海軍も連続した大敗に疲弊しており、どちらも補給や装備の調達に追われる事になった。先に行動を起こせるのは、世界かそれとも深海棲艦かという状況になった。お互い補給部隊を叩き合い、日々、相手の邪魔をしている。

続く
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