この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第六章・その1
鎮守府炎上騒動から2週間。やっとの事でプレハブによる臨時居住区が組み立てられ、佐潟港の近くにある集会場から鎮守府に戻ってきたのだ。焼け残った執務室の部分とプレハブ小屋の部分を無理やりくっつけた継ぎ接ぎの不細工な建物となった。
「集会場での生活の方が豪華だった気がするわ」
若干、焦げ臭さが残っている鎮守府の建物の前で大井が呟く。実際、この鎮守府で寝る環境は火事が起きるより前の物であっても、集会場で布団敷いて寝る方がはるかに安心できたのであった。
「今度、台風が来たら、プレハブ小屋の屋根が飛ばされてしまうのでしょうか。そんな気がします」
「やめてください。もし、そんな事になったら私の部屋がびしょびしょになってしまいます」
潮が不吉な事を言う。それを聞いた鳥海は慌てて首を振った。鎮守府の荷物を運んだのはいいものの、皮肉な事に火事でほとんどが焼けてしまってため持込む荷物がほとんどないので簡単に引越し作業は終わってしまった。ただ、布団や机なども全て焼けてしまったが、菊地提督が用意してくれた物資の中に新品の机と布団があったため、艦娘達は大いに喜んだ。ただし、壁はプレハブであるが。
翌日、磯波、潮、大井、鳥海が執務室に集められた。鎮守府の運営もそろそろ再開と言った所である。今回の会議では、現時点で出撃を行っている海域についてが主な議題であり、重巡である鳥海が加わったため、敵主力部隊を倒すことが可能と判断したようである。幸い、この海域の敵主力部隊は軽巡を旗艦とした水雷戦隊であるため、重巡の火力を持ってすれば軽巡に大ダメージを与える事は、この海域の深海棲艦そして今の鳥海の状態ならば簡単だ。いい加減、上層部にも新しい戦果を送らなければならない。
「今回の出撃は相手に当てる事。つまりは命中重視の陣形での行動を基本としたい。4隻揃った事で複縦陣の陣形が使えるはずだ」
「火力を重視するよりも命中重視という事ですね」
「そうだ。折角の重巡の火力も当たらなければ意味が無い。まして、回避されてカウンターをもらうような事なら目も当てられない」
斉藤の提案を確認するように磯波が声をあげ、それに斉藤が答えた。
「前にも言ったかもしれないが、今は防御よりも攻撃の時代だ。どんなにガチガチに防御を固めてもやられる時はだいたい一発だ。一発喰らえば、最悪一撃、良くて中破か大破だ。かすり傷や小破は基本期待しない方がいい。相手もこっちも技術の進歩とやらで攻撃力が上がっているからな。相手に攻撃を素早く命中させる事と相手の攻撃をいかに回避するかだ。いいか、相手が中破や大破の状態になったら、すかさず攻撃を加えて沈めるんだ。これでブリーフィングは終わりだ。出発してくれ」
4人は装備を確認し、佐潟港から該当海域に向けて出撃していった。
続く
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