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東都幻想工房

同人サークル・東都幻想工房の近況等を報告するブログです。 また、二次創作小説等も掲載しています。

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~艦隊これくしょん 佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:その30~【二次創作小説】

この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。

佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第五章・その2

 他の鎮守府へ視察へ行く日が来た。しかし、何故か出発時間は漁船警護とほぼ同時である。視察に行くメンバーは磯波と潮が選ばれたが、持っていく装備が変である。視察に行くのには必要かどうか疑わしい物である。
 「これが望遠鏡。そしてフェイスペイントです!」
 「目的地に近づいたら、これを顔に塗るんですね」
 「な、何ですか?この装備は?」
 「もちろん偵察の道具ですよ」
 「見てください鳥海さん。いらない網に葉っぱを編みこんで簡単な迷彩服を潮ちゃんと一緒に作ったんですよ。お金が有れば、通信販売で迷彩服を買えたんですけど」
 鳥海は呆気にとられた。自分の頭の仲のシナプス結合がプツプツと千切れていくような感覚を覚えながらこめかみを抑えた。
 「司令官!これはどういう事ですか!?本当に視察に行くんですか?」
 「どうも何も他の鎮守府を見てくるための装備だ」
 「これでは潜入しに向うようなものです!」
 「それでいいだろう。冷静に考えてみろ。いくら自分の所の鎮守府の設備がボロいから見せて欲しいとは言えないからな。通常のどこの鎮守府も多少の差異はあるとしても、大体は自分の所と余り変わりないと思っているからだ」
 斉藤の見識は正しかった。佐潟鎮守府のようなオンボロ状態の鎮守府は他に聞いた事がない。もし、ここと同じような鎮守府が他にあればマスコミが嗅ぎつけ、適当な報道を行って市民の不安を掻き立てる事だろう。用意した装備を大切にしまった磯波と潮は漁船が出発した後、海岸線にそって南下していった。大井と鳥海であたった漁船警護だが、帰りに深海棲艦のはぐれ艦隊と遭遇してしまったが、
 「大井ちゃん。最近、入ってきた子は中々の活躍だね」
 といった具合で、鳥海の射撃で追い払っていた。鳥海は思った。ここの鎮守府にいる人は提督も含め何かがずれてしまっているのだと。そんな鎮守府に来てしまった逃れられない自分に対してなんとも出来ない感情を弾にのせて撃っていたのだった。八つ当たりを受けた深海棲艦が不憫だった。
 一方、他の鎮守府の施設の様子を見ていた磯波と潮は望遠鏡を見ながら震えていた。
 「はわわわわ。何ですかあの“間宮”と書かれた暖簾がある施設は!?艦娘が光悦な表情を浮かべて出てきますよ!それにどこと無く漂ってくる甘い香りは何なんですか!?」
 「潮さん、落ち着いて!気持ちはわかるけど今は堪えて!」
 しかし、入渠施設の豪華さを見てしまった所で潮の膝から崩れ落ちた。ボロボロの入渠施設しかない自分達の所と比べてここには娯楽施設、病院に加えてマッサージ施設等何でも揃っている。比べようがない現実を突きつけられたのであれば仕方の無いことであった。精神的に大ダメージを受けすっかり意気消沈してしまった2人はその日の夕方、鎮守府の片隅で泣きながら干物を必死に食べていた。鳥海が励ましの声をかけたがとりつく島はなかった有様であった。

続く
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~艦隊これくしょん 佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:その29~【二次創作小説】

この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。

佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第五章・その1

 鳥海が目を覚ましてから数日後、鳥海の服と20.3cm連装砲の修理が終わったので、正式に佐潟鎮守府に所属する艦娘として登録された。それまで、鎮守府内を色々と見て回ったのだが、疑問に思うことが多々あった。実際、この鎮守府に初めてきて疑問を抱かない人物はいないだろう。君も来たら顔をしかめる事は間違いない。
 まず、艦娘達への娯楽施設がほとんどない事だ。鳥海がおぼろげなく覚えている限りでは、甘味処があった事はたしかなはずだ。そこのアイスはとても美味しく、仕事の後や入渠後の楽しみとして多くの艦娘達が連日、舌鼓をうっていた。だが、佐潟鎮守府にはそんな施設は無く、ボロボロで今にも壊れそうな入渠施設があるだけである。鎮守府の周辺に設置されているのかと思えば、予想以上のド田舎であり、営業しているかは一目ではわからないちっぽけな商店が一軒あるだけであり、コンビニは国道まで出なければならない上に片道30分弱は歩かなければならないといった具合であった。そんな中でここの艦娘達の楽しみは何かと聞いた所、干物を食べる事だという。現に、毎日誰かしらが調理室兼食堂にて魚を捌いて干物を作っている。斉藤がカラカラになるまで干した干物を執務中に齧ったり、休憩時間に七輪を囲んで干物を齧っている。さらには漁船警護中に干物を齧っている場合もあるという。鳥海はこの鎮守府の食料事情の要因を調べた所、鎮守府の資金は運営費及び修繕費に充てられている上に、毎日支給される各資材の供給量も少ないため、艦娘の装備を揃えるのさえ一苦労という状況を認識した。現に、鳥海の部屋は大井と相部屋であり普通とは違う。正確にいえば、駆逐艦寮といった具合に艦種毎に住む部屋が分かれているのが普通なのだ。
「司令官さん。自分なりに思う事があるのですが……」
「思う事?ここを見て思う事は沢山あるだろう?遠慮なく言ってみ」
「はい。ここの鎮守府の生活環境は余りにも低すぎます!人生の80%を損している、そんな感じしかしません!」
「ああ、やっぱり。確かに何かの陰謀かと思うけど、デフォルトでこの状態だ。色々と思う事が他にもあるかもしれないが、今の俺達は“今あるカードで勝負していくしかないんだ”。だが、他の鎮守府の生活環境の違いはたしかに気になるがな」
「他の鎮守府の様子を見れば、いくらか参考になると思います」
鳥海の意見により近日中に近くの鎮守府への視察が行われる事が決まった。なお、ある夜に北上病を発症した寝ぼけた大井に、同じ部屋で生活する事になった鳥海が襲われるという珍事件が発生した。鳥海の発言によると、まるで蛇が這いよるかの如く、腕からまとわりついてきたというのだ。さらに、
「あなたが北上さんじゃないのが悪い!」
という、大井の超理論まで飛び出す始末であった。身の危険を感じた鳥海は別部屋で生活する事を提案、もちろんそれは受理されたが部屋の修繕が必要であった。

続く

~艦隊これくしょん 佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:その28~【二次創作小説】

この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。

佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第四章・その8

 鳥海を引き揚げてから3日後、彼女は目を覚ました。だが、多少混乱した見せていたが無理もない。目を覚ましたら、オンボロな建物のボロボロな天井をまず見る事になるのだ。もし、この光景を見て衝撃を受けなかったら、その人物のハートはすでにスクラップになっているか、焼きレンガのどちらかだろう。
 「高雄型重巡洋艦4番艦、鳥海です。助けていただいてありがとうございます」
 「入渠施設の方で少し叫んでいたけど落ち着いたかな。それで体調はどうだ?」
 「はい。どことなく身体が重く感じます。それに前にいた鎮守府の記憶があやふやでうまく思い出す事ができません」
 「提督、おそらく鳥海さんの記憶や身体の感じ方に違和感を感じているのは沈んでしまった影響だと思われます。撃沈や喪失扱いになった艦娘は所属している鎮守府から登録を外されてしまうため、全ての能力や記憶がリセットされたのでしょう」
 「艦娘の登録システムの影響と言う感じかな。折角、拾った命だ。これからよろしく頼むよ」
 「はい!」
鳥海は綺麗に敬礼を返した。ただ、彼女の持っていた20.3cm連装砲は船の改造に体力を使い果たしたため、修理はまだ終わっていなかった。彼女が戦列に加わるのももう少し先だった。

第5章へ続く

~艦隊これくしょん 佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:その27~【二次創作小説】

この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。

佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第四章・その7

 深夜三時。明石がクレーンからワイヤーを下してからかなりの時間が経っている。深海棲艦とは遭遇していないが、目的の重巡も見つかっていない。明石は気軽にワイヤー等を改造してしまった事を後悔していた。“できます”と言わなければ、改造しなければ、今頃はボロボロな建物だけど、柔らかい布団の上でぐっすり眠っていたはずだったのだ。船といえばワイヤーをおろした地点から重巡が沈んでいると思われる範囲をぐるぐる回っているが映像にも金属探知機にも反応は一向になかった。
 「アンタ、いつまで探し続けるわけ?本当に見つかるとは思わないけど」
 「どうした大井、眠いのか。東シナ海一泊になるぞ」
 「なによそれ……」
 「あそこにある袋は何だと思う?アレはテントが入っている。この船の上でキャンプする事も想定している」
 「艦載機が飛び交うで海域で船上キャンプ!?とても正気とは思えない発言ね」
 「だから今、ここにいるんだろ。あきらめろ大井」
 そんな身も蓋も無いだらしない会話を行っていた所、金属探知機から耳障りな音が聞こえてきた。何か反応があった事は明白である。斉藤は大淀に減速をすると共に、周辺地点をゆっくり回る事を命じた。例え、金属探知機に反応があったとしても、それが沈んだ重巡の位置を示しているわけではない。沈む原因となった攻撃によって吹っ飛んだ艤装の一部の可能性もある。さらに、太平洋戦争において、沈んだ船や艦載機の一部である可能性も十分に考えられる。お宝であった場合は、それでそれで大発見である。再び金属探知機の音が鳴り響く。船を停止させ、金属探知機のパーツを一旦、引き揚げる。再度、ワイヤーを下ろして今度は目視による確認を行う。取り付けられたライトに映し出される映像が頼りだ。
 「今の所、もう少し右に。何か映ったぞ」
 「嘘でしょ。そんなご都合主義みたいな……」
 大井はボヤいたが、その言葉は気にせず明石は船上で右に移動する。一秒でも早く帰るためには何としても吊り上げる必要がある。次の瞬間、人の手らしきものがちらりと映る。
 「ビンゴ!明石、引き揚げろ!」
 明石が背負っているクレーンがしなる。それなりの水深から引き揚げるため時間がかかる。艦娘が減圧症にかかるかはわからないが、念のためゆっくり引き揚げているのである。水の中から引き揚げる音と共にぐったりとした女性が引き揚げられる。船に仰向けにして寝かせ、クレーンを外した明石が引き揚げた艦娘の様子をみるため、首筋に手を当てる。
 「脈があります。まだ、この艦娘は生きてます」
 「水を飲んでいる気配もなさそうだな。沈んでしまった艦娘は不思議だ。むしろ、誰も知らない事だ」
 引き揚げた艦娘は、服と艤装はボロボロであり、砲撃でダメージを受けた部分以外も潮の流れでかなり痛めつけられた模様だ。所持していた魚雷は全て流されしまったのだろう。ただ、身に着けている眼鏡が1つも傷ついていないのがある意味、謎である。目的は達したので全速力で佐潟鎮守府に戻り、引き揚げた重巡の艦娘を入渠施設へと安置させる。大淀によれば、入渠させれば復帰は可能であるが、被弾する前の状態に治せるのかは未知数である、むしろ、今回の事は他に誰もやった事がないため、何もかもわからない状態であった。後にわかった事であるが、艦娘達用のアイテムとして“応急修理要員”という物があり、これを装備した艦娘は撃沈するダメージを受けても、これを消費して一回だけ復活する事ができるという。ただ、そのアイテムの入手は難しく、艦隊の運営費を使って購入するか一定の戦果を上げた場合のボーナスとして支給されるかのどちらかであう。今回、形は違うが斉藤達はそれの真似事をしたのである。
 「今回、海底から引き揚げたのは重巡洋艦の鳥海というのか」
 斉藤が書類を見ながら呟いた。司令部に送る正式な書類は鳥海が入渠が終わってからにするが、加わった理由は工廠での機械と記載してあるだ。まさか、危険を冒してまで海底に沈んだ艦娘を引き揚げに行くと言うあまりにもバカバカしい発想で艦隊に加えたと言っても誰も信じないだろう。頭がおかしいと思われるのが普通だ。
 「それで、鳥海は目を覚ましそうなのか?」
 「確証は持てませんが、おそらくは大丈夫だと思います。高速修復材を使いましたので、通常よりも早く目覚めるはずですよ」
実際に入渠施設を使った磯波がいうのだから間違いはないだろう。だが、大破とは違う状況なのでそれなりの副作用はあるはずだ。

続く

~艦隊これくしょん 佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:その26~【二次創作小説】

この小説は艦隊これくしょん~艦これ~の二次創作小説です。

佐潟2174艦隊・オンボロ鎮守府:第四章・その6

 東シナ海方面に出港して2時間ほどして太陽が水平線に沈んだ所で、少しばかり偽装漁船に張り詰めていた空気が少しだけ和らいだ。すでに司令部から佐潟鎮守府に出撃許可が出ている海域から外れている。空母や戦艦が出没する海域では日中、艦載機が四六時中飛び回り、ひとたび見つかってしまえば空襲を受けてしまう。提督が乗っている偽装漁船が空襲をまともに受けてしまったら一溜まりもないだろう。しかし、夜になると艦載機は飛ばなくなるため空襲を受ける可能性はなくなるのだ。後は、深海棲艦の艦隊と鉢合わせなければいいのだ。
 「提督。サルベージポイントまで後、どのくらいですか?」
 「後、1時間程でポイントに到着だ。引き続き警戒を続けてくれ」
 潮の問いに斉藤が答えた。船の運転は大淀が行い、他の乗員は望遠鏡で周囲を警戒している。
 「望遠鏡をのぞき続けるのも疲れるわね」
 大井がぼやいた。事前に用意した船酔い防止の薬を飲んでおかなければ、さすがの艦娘も船酔いを起こしてしまうだろう。
 「て、提督!11時の方向に人影を確認しました!」
 「敵かそれとも味方か!?」
 斉藤が磯波と同じ方角を望遠鏡で除く。たしかにしっかりとした体つきの人影が6人確認できる。深海棲艦でしっかりとした体つき、すなわち人間に近い体つきのタイプは重巡以上だ。緊張が走ったが、6人の内の1人が弓を持っているのが見えたため、ホッと胸を撫で下ろした。斉藤は大淀以外のメンバーにしゃがむように指示を出す。艦娘が乗っている事をばれない確率を上げるためだ。
 『こちら三角2057艦隊です。ここは危険な海域です。単独で航行中の漁船のようですが、警備はどうされましたか?よろしければ、三角の方まで護衛いたしますよ』
 偽装漁船に備え付けれた無線機から声が響いてくる。大淀がどうしましょうという顔で斉藤を見たので、斉藤が無線機を取り、
 「こちらときわ丸。気にかけてくれた事を感謝する。だが、大丈夫だ。この先で仲間の漁船と合流する手筈となっている。この漁船は足が速いのがウリだ。貴隊の武運を祈る」
 仲間がいる等嘘八百な適当な言い訳をした後、大淀に船のスピードアップを命じる。出発の4日間の間に航行速度を 確認しておいたためスピードだけは本当であった。実際に、先ほどの艦隊はあっと間に操舵室に取り付けてあるバックミラーから消えていった。完全に日が落ちたのはそれからまもなくの事であった。深海棲艦に見つかるわけにはいかないので、照明はつける事はできない。空に輝く月明りを頼りに進むしかない状況であるが、今日は新月のため真っ暗であった。
 「このあたりだな。大淀、一旦船を止めるんだ。磯波と潮と大井は引き続き哨戒を。怪しい船のような物が近づいて来たら容赦なくぶっ放せ!」
 船が停止した後、操舵室に取り付けられた各種機材を起動していく。魚群探知機や金属探知機を起動していく。
 「船長!この金属探知機はワイヤレスタイプじゃないですか!どこで手に入れたんですか!?」
 「ああ、菊地に無理して借りてきてもらった。壊したりするんじゃないぞ」
 明石が持ち込まれた機材を見て驚きの声をあげるが
 「さて、明石。我々がこの海域から素早く帰るためには君の働きが肝心だ。アームを海中にいれて金属探知機とカメラの映像を駆使して探し出すんだ。ボウズで帰ったら何で秘密作戦と銘打った意味もなくなってしまうからな。すべては君次第だ。さあ、準備をしたまえ」
 数十分後、船からクレーンのワイヤーを垂らす明石が確認された。

続く

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